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スリザリンの寮は地下にあると言われているが、レディーたちの部屋は少しだけ日の当たる場所に位置していた。

というのも、レディーとオルガが
「日の光を少しでも浴びないと自律神経がイかれるし、睡眠障害になる」
と寮監であるスネイプに文句を言ったからだ。


始めはスネイプも無視していたが、毎日部屋に忍び込んでは机に
「愛してる先生へ、私達に日の光をお恵みください LOVE」
等と落書きををして行くことに痺れを切らし、部屋の場所が今年移動となった。


「スネイプは可愛い女に弱い」


とレディーは高を括っていたが、ただ単に嫌がらせの度合いが酷かっただけである。



そんなこんなで、レディーたちは新四年生としてホグワーツに着いてから、集会までまだ時間があるというので部屋に行って買った洋服を広げていた。

日当たりのいい部屋に感激し、窓に近づくと外に沢山の人がいるのを発見した。


「オルガ、なんであんなに人が群がってんの?今日お祭り?」

「知らないわよ」

「あ、ハグリッドだ。なんか駐車場案内みたいなことやってる」



2人が窓辺で肘をついて外を見ていた時だった。同室の女の子が息を切らせながら部屋に飛び込んできたのだ。


「ハァハァ!ねぇ!他校がもう着いたわよ!」

「他校?」


レディーが手に持ったピアスを耳につけながらたずねる。ルームメイトの女の子は大きな声で

「ボーバトンとダームストラング!!」


と、言い残し部屋を去ってしまった。


「なんて言ったか聞こえたレディー?」

「聞こえたわ、ボーパートルとダークストロングって言ってた」

「何それ、絶対聞こえてなかったでしょ」


二人は顔を合わせて苦笑いをすると、外の大きな船や馬車を窓から見下ろした。



‐‐‐‐‐‐‐


2人が流行りの洋服の話題で盛り上がっていると、大広間へ集合の時間になったらしく隣の部屋のパンジーがレディーたちの部屋を覗きこんで声をかけた。


「レディー、オルガもう大広間への集合の時間よ急いで!」

「ねぇパンジー私服じゃないの?」

「制服に決まってんでしょ!!」


‐バンッ!!!!!


あまりにも当然すぎる質問にパンジーは怒りドアを思い切り閉めていった。レディーは肩をあげて「こわっ」と呟く。

パンジーが思い切り閉めたドアを見つめ、オルガはため息をついた。


「レディーどうする?せっかくの新しい服、お披露目はまた今度ね」

「オルガ、あなたには呆れるわ、校則は破るためにあるのよ」


レディーはオルガの両肩を掴みうんうんと首を縦に振った。オルガはそんな親友に同調するように頷く。



「それに今までずっと校則違反してきたじゃない!フィルチが何?寮の点数が何?私には関係ないわ、点数は他のみんなが頑張ればいい!!」

「レディー、あなたってなんてスリザリンなの!最高に自分勝手!素晴らしいわ!」



オルガはレディーの手を掴み、二人は部屋でダンスを始めた。周りの人が見たらきっと気が狂ったとでも言うだろう。

ニシシと笑う二人は三年間もの間、校則違反の常習犯だった。

今まで教授たちの手を焼かせた生徒は数多くいるが、特にジェームズ・ポッターと、シリウス・ブラック。双子のウィーズリー。そしてレディーとオルガはその中の代表格だったのだ。


二人は急げ!と言いながら私服をあさり、ホグワーツの制服に合うように買ってきた言わば制服外のスカートをはいて部屋を飛び出した。



‐‐‐‐‐‐‐‐


大広間に着いたパンジーはテーブルに置かれたケーキを食べていた。はやくダームストラングの生徒が入ってこないかと待ち望んでいる。



「パーキンソン」

「あらドラコ、どうしたの?」

「レディーを知らないか?朝からずっと会っていないんだ」


パンジーに声をかけたのはレディーの恋人であるマルフォイだった、散々レディーを捜したのか、疲れてため息をつきながら腕を組んでいる。



「まだ来てないの?さっきあれ程急かしたのに!」



パンジーは勢いよく立ち上がり二人を迎えに行こうとしたが、目の前の視界にあるものが入り、冷や汗をかいた。



「ドラコ、いたわ」

「ん?」


パンジーは頭を抱えながら指をさした。
指さす方向にいたのは大広間を全力疾走するレディーだったのだ。



「こっち来ないでよフィルチ!!」

「待たんかこら!おい!エジワール!」

「気合い入れてレディー!」


フィルチに追いかけられるレディーを見て、オルガは大広間の席に座りながら優雅に紅茶を飲んで応援した。



「なんであんたは怒られないのよオルガ!」

「知らないわフィルチに聞いてよ」

「なんで!フィルチなんでよ!オルガも校則違反してる!」

「お前の方が腹がたつからだ!」

「理不尽!」


間もなくダンブルドアによる話しが始まるのにも関わらず、大広間を出てレディーはフィルチと疾走して行ってしまった。
遠くから「嫌ー」と叫び声が聞こえる。



「苦労するわね」

「だろ、飽きないよ」



そこには同情するパンジーと、心底疲れきったマルフォイがいた。



(元気そうでなにより)
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