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ねぇ知ってる?ドラコ・マルフォイに告白した女の子。

知ってる知ってる。スリザリンの子でしょ?

そうそう、ハットストールを起こした子よね。私たちみたいに優秀なレイブンクローに入りたかったらしいわよ。

信じられない!階段から落ちてるし、大広間じゃ大騒ぎだったじゃない。そんな子、うちの寮に入れるわけないわ。

でもさ、あの子…


---


「え、アリアまたテストパーフェクトなの?」


ステファニーが自分の答案とアリアの答案を見比べながら顔を青くした。
スネイプがゆっくりと、独特な声を出しながらテストを返していく。部屋の中からは低い点数を取ってうめき声も上がっている。ロンもそのうちの一人だった。

アリアにとって、地獄の入学式から2ヶ月が経った。スネイプの授業に、マクゴナカルの授業、飛行学のフーチの授業と、色々な授業をやってきたが、1番得意な授業は意外にも魔法薬学だった。スネイプのテストは難しく、満点を取るものは多くない中で、アリアは常に満点だった。仮にもスリザリン寮の生徒のため、スネイプはアリアを評価している。
グリフィンドールのハーマイオニーも毎度満点を取るため、魔法薬学の時間はこの2人の独擅場だった。

「ねー今度勉強教えてよ」

「いいよ。あの馬鹿げた噂を止めてくれたらね」

「私に出来たら苦労しないよ」


ステファニーは机につっぷした。スネイプがこちらを睨んでいるのでベーっと舌を出した。眉間にシワが寄っているが、私はそれどころではないのだ。告白なんてしてないのに、ちょっと馬鹿にしてやろうと思っただけなのに。こんなことになるなら無視しておけばよかった。
マルフォイもマルフォイで、噂の広がりを嫌がらないし、何なら紹介しているくらいだ。


「アリア・マクゴナガルはこの後部屋に残れ」

「え、なんで」


突然名前を言われ、その場にいた生徒が私を見つめた。中にはくすくす笑っている人もいる。ロンが小声で「マルフォイに告白したおかしな子だよ」とハリーに耳打ちしている。そういうのは聞こえないように言うものよ。あんたの靴に芋虫仕込んでやるから。


「グレンジャーもだ」


視線がハーマイオニーに移った。そしてピンとくるこの人選、怒られる話ではなさそうだ。ステファニーが心配しているが、問題ないだろう。優秀賞でも貰えるのかな?それくらいの感覚でしかアリアはいなかった。


___

スネイプに連れて来られたのは、廊下でも教室でもなくダンブルドア校長の部屋だった。優しく笑うダンブルドアは、2人を招き入れ、ドアを閉めた。中にはマクゴナガルもいて、アリアは何なの?と怪訝な目で祖母を見つめている。


「2人に来てもらったのは他でもない。先方から留学の話が出ておる」

「留学!?」


ハーマイオニーは驚いて口を塞ぎ、アリアに関してはダンブルドアの前ででかい声を出したのでマクゴナガルが頭を抱えた。


「キミたちは実に優秀じゃ。勤勉で、賢く、留学先へ行っても恥のない生徒じゃ」

「でも校長先生、私はホグワーツで学びたいんです」

ハーマイオニーが申し訳なさそうに言う。アリアはマクゴナガルの顔を見たり、ダンブルドアの顔を見たりと落ち着きがない様子だった。


「分かっておる。じゃからこれはあくまでも2人に選択肢を増やしているだけなのじゃ」

「選択肢…?」

「留学先はイルヴァーモーニー魔法魔術学校。アメリカ、マサチューセッツ州にある魔法学校じゃよ」

「アメリカ…イルヴァーモーニー」


アリアがボヤくと、ハーマイオニーがそこ知ってる。ホグワーツと同じように4つの寮があるのよ。とアリアに教える。


「留学の話は自由じゃ。行かなくてもよい」

「期間は?」


マクゴナガルがアリアをじっと見ている。嫌だと言うと思っていたからだ。土地勘もなく、無鉄砲で面倒臭がり屋の孫が、まさか興味を持つと思えなかった。


「2年生の頭から、2年。」

「ホグワーツに帰ってくるのは4年生の時ですね」

「え、アリアまさか」

「行きます」

「正気ですか!!??」


マクゴナガルが3段程しかない階段を降り、アリアの肩を掴んだ。心配でたまらない。どうか断ってくれという顔をしている。


「…本気よおばあちゃん」

「そんな…」

「ミス・グレンジャーは?」

「わ、私はホグワーツで学びたいです」

「ではマクゴナガル先生、留学はアリア1人だけで話を進めますぞ」

「待ってくださいダンブルドア校長。こんな所で私情を持ち出して申し訳ないですが、この子に留学は無理です!向こうの学校に間違いなく迷惑を掛けますわ」


マクゴナガルはダンブルドアの元へまた階段を上り詰め寄る。ダンブルドアはスっと手を上げ、それはアリアが決めることだと、マクゴナガルを諭した。


「アリア、イルヴァーモーニーは素晴らしい学校じゃ。必ずや君を成長させてくれるじゃろう。じゃが、暫く友と離れ、ここにいる祖母のマクゴナガル先生とも離れなければならん。それでも行くかね」


マクゴナガルの心配など聞こえていないかのように、アリアは頷き、校長室を後にした。


___


「ダンブルドア校長!呼ばれて来てみれば、なんです留学って!ここ数年無かったではないですか」

「落ち着くのじゃマクゴナガル先生…。これはイルヴァーモーニーからの要望でもある。それにあの子の母は確か…」

「私の母、イゾベルがアメリカで助けた子です。村の者に…アメリカではノーマジと言いましたか…マグルに迫害を受け、オブスキュラスになりかけた…」

「…運命であり、必然なのじゃ。アリアがイルヴァーモーニーへ行くことは。そこで何かを必ず得て帰ってくる。彼女は、何か凄いことを成し遂げる」


部屋に残ったのは、静かな空気に落ちる、一滴の涙の音だけだった。



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