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ハットストールとは、ホグワーツ魔法魔術学校において、組分け儀式に5分以上の時間を要する生徒を指す言葉だ。組分け困難者とも呼ばれる。ハットストールの生徒は50年に1度発生するかしないかと言われており、非常に稀な存在だった。

ハットストールを起こした生徒で、わかっているのは2人。
ミネルバ・マクゴナガルと、ピーター・ぺティグリューだ。
そんな組み分け帽子でのクラス分けが行われる中、ハーマイオニーの組み分けに、すでに3分の時間が使われていた。勇気あるものが住まう寮のグリフィンドールと、知識と知恵を司るレイブンクロー。その2つの寮で、組み分け帽子は悩んでいた。


教師陣がハットストールかと思う中、4分が経とうとしたところで、組み分け帽子は高らかに宣言した。「グリフィンドール」と。
グリフィンドールからは拍手が上がる。

「はーん、あの栗毛の女の子はグリフィンドールだったのね。名前はハーマイオニーだったかな」

「あぁいうタイプの子ってレイブンクローだと思ってたよ」


シェーマスがへぇと言いながら壇上を見ている。


「きっと私と同じ寮ね!私はグリフィンドールのはずだから」

「一緒だったらいいな!」


シェーマスがニコニコしながら言うので私も歯を見せて笑った。2人で仲良く話をしている矢先、呼ばれた生徒はドラコ・マルフォイ。


「あ、出た」


眉間にシワを寄せ、マルフォイを睨む。まぁあいつはどうせスリザリンよ。分かるわ。絶対にグリフィンドールじゃない。
組み分け帽子がマルフォイの頭にのせようとした瞬間だ。「スリザリン!」と帽子が叫ぶ。まだのせきってもいないのに、組み分け帽子はそう判断した。ニヤリと笑いながらマルフォイがスリザリンのテーブルに向かって歩んでいく。

私の目の前を通り過ぎる時に、ボソッと言うのだ。


「お前もどうせスリザリンだろうな。性格悪そうだし。待っててやるよ」

「…」

「うわっ!何するんだ!」


叫ぶドラコが、まぁまぁと上級生に連れていかれる。マクゴナガルは頭を抱えていた。アリアがマルフォイの足を引っ掛けたのだ。シェーマスはやりすぎだと言うが、アリアは反省の色がない。マルフォイが悪いの一点張りだ。


「…コホンッ。えー、アリア・マクゴナガル」

「お、呼ばれたぞアリア」

「また後で会いましょうねシェーマス。私はきっとグリフィンドールよ。なんてったっておばあちゃんの寮だもん」

「は?おばあちゃん??」

教師陣がアリアに注目する。マクゴナガル先生の孫だからだ。きっとグリフィンドールだろうと、微笑みながら見届けていた。祖母であるマクゴナガルは心配そうに呼名の紙をくしゃりと握りしめている。

そんな中ジッとアリアを見ていたのはマルフォイだ。彼はアリアがスリザリンと呼ばれるのを口角を上げながら待っていた。
ふわりと帽子がのせられる。


「うーむ…これは難しい…。アリア・マクゴナガル。マクゴナガル先生の孫…。」


大広間がザワついた。マクゴナガル先生の孫?親族?と、そんなことを知らない生徒からすると驚きだ。そしてどの寮と悩んでいるかが問題だった。マクゴナガル先生の孫ならグリフィンドール一択だろうと思ったが、そうでもないらしい。


「ここで言っていいかは知らないが…お前さん、本当は…」

「ちょっとお待ちなさい。それは個人的な情報です大広間で言うものではないのでは」


マクゴナガルは焦りながら組み分けに駆け寄った。ダンブルドア先生も、それは言わんでもいいじゃろうと、組み分け帽を制止している。
多くの生徒が状況を飲み込めていなかったが、ハリーやハーマイオニー、ロン、マルフォイ、シェーマスなどの同級生は、この日の組み分け帽の言葉をやけに鮮明に覚え続けることになる。


(本当は…なに…?)


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