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その日アリアは伝説となっていた。流れた噂は「美人一年生マルフォイ家の長男を暴行」で、アリアは電車から引きずり降ろされ巨体の男に担がれてホグワーツにたどり着いた。


「私悪くないわ」

「何を言っちょる。ケンカはしがちなものだが殴っちゃあかん」

「ひっぱたいただけよ」


ちょーんよ!ちょーん!と手で叩く仕草をする。担がれているので体の自由は効かないためなんだか滑稽だ。


「私あの男の子嫌い」

「たぶんみんな嫌うタイプのやつだから気にすんな」

「あなたもそう思うの?」

「あなたなんて名前じゃねぇ、ルビウス・ハグリッドってんだ。ハグリッドって呼んでくれりゃいい」

「わかった、ねぇハグリッド、あの男の子は嫌われキャラなの?まぁ納得だけど」

「マルフォイ家だからな、嫌味ったらしいのさ、親父もあんな感じさ」


うげ〜とアリアは舌を出した。ハグリッドに何だか厳かな場所に連れてこられてしまった。そしてハグリッドは部屋のドアをノックし恐ろしいことを言ったのだ。

「マクゴナガル先生、スネイプ先生、この子です電車で騒動を起こしたのは」


ドアを開けるとそこにいたのはまぁ目玉が飛び出そうなくらい驚いているおばあちゃんと、じっとりとした目で見つめる男の先生。やばいやばいという焦りから冷や汗が止まらない。


「アリアあなた何をやっているのです…?」

「マクゴナガル先生ご存知なんで!?まさかハリーと並ぶくらい凄い子なんじゃ」

「いいえ違いますよハグリッド」


この子はね、とマクゴナガルが静かな笑顔で近づいてくる。一番怒っている時の顔だ。怖すぎ。助けて。誰でもいい、シェーマスでもいいから助けて。マルフォイは願い下げだけど。
ヒェェと思っていると案の定首根っこを掴まれてしまった。


「この子はわたくしの孫です。ね、アリア・マグゴナガル」

「げろげろ」


何がげろげろです!と頭をコチーンと叩かれた。ハグリッドは驚きのあまり後退し、棚に置いてあった薬草や本を倒してしまった。スネイプは頭を抱えため息を吐いている。


「あなた何をしたかお分り?」

「だって聞いてよおばあちゃん」

「マクゴナガル先生とお呼び!!!」

「ひぃ!」


家じゃおばあちゃんでオッケーじゃないか。怖い。怖すぎる悪魔だ。


「あなたがやったことは無礼すぎます。今すぐドラコ・マルフォイに謝っていらっしゃい」

「えぇぇ!あのバカにどうして謝るのよ!」

「アリア!!!」

「すぐに謝らせて頂きます」


ハグリッドさんドラコ・マルフォイ君のところまでご案内をお願いします。と、急に他人行儀になったアリアに笑顔を引きつらせながらハグリッドとアリアは部屋を後にした。


「ずいぶん、元気のいいお孫さんですな」

「…頭が痛くなったわ。セブルス、私は入学式の呼名がありますから、先に行きますよ」

「えぇ…あなたのお孫さんはどちらの寮に入りますかな」

「スリザリンにくれてやります」

「結構です」


スネイプの即答にマクゴナガルはため息をつきながら部屋を出て行った。



(あんな破天荒な生徒いらん)



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