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レディーたちがホグワーツへと走っている頃、ルーファスは屋敷にいた。机の前で、紙とペンを持って字を書き貯めた後、その紙を机の上に置いたまま部屋を後にした。

そんなルーファスをカロンが追いかけた。机の上に置かれた紙をもち、まるで突きつけるようにルーファスの前に立つ。



「ルーファス様いけません」

「いいんだよカロン」

「いけません!あなた様は良い方です!」

「なら放っておいてほしい。守りたい子なんだ」

「だからって…」

「これからの時代に掛けてみたいんだよ。許してくれカロン」

「これを知ったらお嬢様は泣いてしまいます!悲しみます!それにルーファス様…あなたも恋する相手がいるではありませんか!!アシュレイ様から良い返事を頂いたのでしょう!?」




ルーファスはそれでもいいんだと言って、カロンの横を通った。膝から砕け散るように倒れたカロンにありがとうと囁き、その場から姿をくらませた。

カロンが握りしめる紙が涙に濡れる。屋敷しもべの大きな瞳から溢れる涙は止まることを知らなかった。


「ルーファス様…」


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「レディー!ドラコ!よかったどこに行っていたかと」



スリザリン寮へ戻るとそこにはランドールとオルガしかいなかった。久しぶりにこのメンバーでこの寮にいる景色を見てなんだか泣きそうになぅてしまった。なぜここにいるかと聞くと、ランドールは大広間は死人が多すぎて見ていられなかったんだと俯いた。


「…フレッド」

「これからどうするか考えましょうレディー」

「…そうよね」



自分の隣にはドラコ、前にはオルガ、斜め前にはランドール。4人はまるで三年生や四年生の時のようにソファーに座って話を始めた。昔はここで笑っていられた。でも今は、笑顔など見られない。真剣な顔つきで、隣に迫る死をどうにか免れなければならない。



「ハリーは森に向かって歩いて行った。恐らく殺されに…」

「さっき例のあの人が言っていたことを守ったの!?」

「ハリーはヴォルデモートの分霊箱の一つだったのよ。ハリーが死なないと、あの人は永遠に生きたままなの」

「じゃあハリーが殺されちゃったら誰が例のあの人を…」


オルガはショックそうに手を口元にやった。ランドールも信じられないといった表情でドラコの顔を覗いた。


「私がやる」

「ダメだそれは僕が許さない」

「だってドラコ!!」

「レディー、お前ただでさえヴォルデモートに命を狙われてるんだぞ。裏切ったからな。そのまま目の前に立ちはだかってみろすぐに殺される」


言葉につまるとオルガは微笑みながら私の手を取った。暖かい。オルガはいつもこうやって私が不安になると手を取ってくれた。ドラコと喧嘩をした時も、嫌なことがあったときも。大丈夫よって言いながら。



「そうよレディー。作戦を立てましょう。私達はみんな仲間なんだもの」

「でもそしたらみんなが危ない目に合うのよ!?」

「危ないなんて、戦争が始まる前からさ。なぁレディー頼む。もう俺たちを置いていかないでくれ」


ランドールが切なげに笑った。オルガになぁ?と尋ねながら、レディーがいなかった期間を思い出して胸を抑えた。


「そうよ…私達ずっとレディーとマルフォイを待ってた。やっと会えたのにまたレディーは1人でどこかに行こうとするんだもの」

「オルガ…」

「もう絶対にレディーを1人にはさせない」

「ありがとう…」


溢れる涙が手の甲に落ちていく。本当に頼れる友達が出来た。そんな、少し穏やかな雰囲気になった途端ランドールは真剣な表情でドラコを見つめた。



「でもドラコはここにいちゃダメだ」

「は?」

「いいかドラコ、お前は例のあの人に呼ばれたらすぐに仲間の元に戻ってくれ。レディーは俺が絶対に守る」

「ランドール…お前何を言ってる」

「約束する。命に代えてでも守るから。仲間の元に戻れ」



まずい。ドラコが怒る。

レディーの直感がそう訴えた。必要の部屋の前でドラコに隠れていてと言った時と同じ雰囲気なのだ。
そしてその予想は当たってしまった。ドラコは立ち上がりランドールの首元を掴んだのだ。オルガも勢い余って立ち上がり後退した。



「守る?王子様気取りかランドール」

「レディーを一度置いて行ったやつが言うセリフかよ笑わせんな」

「あれはレディーを守るために!」

「同じだよバカドラコ!!!」



ランドールのこんなに低い声初めて聞いた。彼はいつもふざけてばかりだったし、怒られたり、何か言われることはあっても自分から怒ることは無かったはずだ。それが初めてドラコにキレたのだ。声をあげて、首元を掴まれていた手を引き離した。



「お前が死んだら誰がレディーの未来を守ってやるんだよ!!」


ランドールがドラコの胸元をドンと押すと、ドラコはランドールの顔を見つめたまま黙ってしまった。言葉が出てこないのだ。



「本当にレディーを愛してるのなら自分が生きることを考えろよ!意味ないんだよ死んだら!残された方がどんなに苦しいかわかるだろ!?」

「ランドール…」

「…確かに俺は一度レディーを見失ったよ。ドラコを追って旅に出た時、何も出来なかった。酷く後悔したさ。だけど、もう見失わない。絶対に約束を守る。だから…」

「…」

「だから俺にレディーを預けてくれないか?」



ランドールがドラコへと手を差し伸べた。それはもう泣きそうな顔をしながら。

オルガに泣かないでと言われたが、涙が止まるわけがない。ドラコがランドールの手を取ったのだ。友達など自分より下としか思っていなかったような男が、一番信用できる親友に私を任せた。



「…隙が出来たらすぐに戻ってくる」

「待ってる」

「ランドール」

「あ?」

「ありがとう」



ドラコがお礼を言うとランドールはここ最近で一番の笑顔で、歯を見せて微笑んだ。



(こちらこそありがとう)

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