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壱之神
主人公:
穏やかな雰囲気の温厚で優しい話し方をする女性。
西王母の側近女官で、母的存在。一葉にも姉のように慕われている。
過去、比企に騙され心を乗っ取られて悪事を働き牢へと閉じ込められた。
その時自らの角を折られた為に神としての力が薄れている。
種族:狡(こう)。
中国において、紀元前に書かれたという地理書「山海経」に見える怪物の一つ。西王母の住む玉山という山に棲んでいる。
体つきは犬に似ていて吠える声も犬のようだが、体表には豹のような模様を持ち、牛のような角を生やしている。瑞獣の一つであり狡が出現した国は大豊作になるという。
『――鎧糸…』
「もう、会いに来ない」
『っ……がい、し』
彼女は、背を向けて歩き出した男に何も言うことは出来なかった。「行かないで」など言ってはいけない。それは自分の我儘だから。彼がここを離れていくことなど、いつか、必ずくると分かっていた。
身分が違いすぎる。
人種が違いすぎる。
立場が、悪すぎた。
だから、この言葉は二度と伝わらない。二度と、口にすることはできない。
『ごめんなさい………』
この言葉を、貴方と私の為に、捨てよう。
『愛しています』
110820