準備万端。制服に身を包んだメリアは、キュッとリボンの位置を直すと1階へと降りて行った。

「お早う御座います」
「あら、おはようメリアちゃん」
「お早う御座います、ルネさん」

出迎えてくれたのは、ホラインズンブルーの髪の女性。エプロンに身を包む彼女は、ふわりと微笑んでテーブルに朝食を置いて行く。メリアは席につくと、焼けたばかりのミルクティのカンパーニュを口にした。

「ふぁふぁおふぉいですね(パパ遅いですね)」
「ちゃんと飲み込んでから喋りましょ」
「ふぁーい(はーい)」

もぐもぐと口にして、牛乳で流し込み飲み込んだ。そしてデザートの苺のムースケーキを口にし始めると、上から下りてくる足音が聞こえた。ふいっと視線を階段にやれば、キラーが起きてきた。

「おはよう、キラー」
「お早う御座います、キラー兄様」

にこりと微笑んだ2人に、キラーは小さく笑って見せた。

「今日は遅かったわねー」
「昨日、夜遅くまでレポート書いていたからな……で、メリア。その格好はなんだ」
「ああ、これですか? 今日、コスプレパーティーがあるので」

研修医であるメリアは久しぶりの休みをコスプレパーティーで使うらしい。その格好にキラーは若干、引き攣った笑みを浮かべた。

「というか、やっぱりキッドパパは起きてきませんねー、ママ」
「ええ、そうね。どうせ、夜に格ゲーやっていたからだわ」
「またアイツはやってたのか……」

はあ、とキラーは溜息をついて牛乳を口にした。キッドのゲーム好きは今に始まったことではなく、夜遅くまでやっているのはいつものことだ。メリアはキッドの事をパパ、ルネの事をママ、キラーを兄様と呼ぶが、決して血の繋がりはない。

「お頭、起こしに行った方がいいかしら?」
「いや、やめといた方がいいと思います。ルネさん起きてこれなくなります」
「俺もその意見には賛成だ。ということで、メリア。殺虫剤を用意しろ」
「はーい」
「え、なんで殺虫剤!?」
「これやれば一発で起きるっていう実験結果があってだな…」
「いつそんな実験やったのよ!!?」
「半年ほど前だ。トラファルガーの奴に手伝って貰って、中身も過激にしてもらった」
「い、いつの間に………」
「ちなみに、製作にはメリアも携わったから、危険物として取り扱う事になった」
「もう殺虫剤じゃないじゃない!!」
「いや、そのおかげで今やゴキ●リが出なくなっただろう」
「確かに、見てないわね…って、役立つけどそれ人間用じゃないの?」
「ああ、キッド専用だ」
「お頭、ゴ●ブリと同類なのね……」

すると、奥から巨大殺虫剤を持ったメリアがやってきた。その巨大さは彼女の等身大の大きさで、ルネも若干引いている。

「な……それ、大丈夫なの??」
「3秒以上の長押しするだけですから、大丈夫です。って説明書に書いてあります」
「律儀なことに、トラファルガーが書いていった」
「ローさんそこまでやらなくても……まあ、危険物だから仕方ないのかも」
「と、いうことで行きましょうか」


***


――キッド部屋前

「ルネ、すまないがドアをほんの少し開けてくれ」
「分かったわ」

そういい、音を立てないように扉を開けた。キラーはその隙間に殺虫剤を向ける。既に3人ともガスマスクとゴーグルをつけており、準備は万端である。

「じゃあ、やるぞ」

それにルネとメリアは頷けば、キラーは躊躇いなく改造殺虫剤のボタンを押した。すると殺虫剤は協力噴射で白い煙が上がる。

「ちょ、3秒以上長押し必要ないじゃない!!!」
「まあ、それもそうなんだが…」
「ってか、お頭死んじゃうわよ!! やめてやめて!!」

ルネがキラーを止めに入った時だった。部屋の中から絶叫が響き渡った。

「あ、起きましたね」
「そうだな」
「なんで2人共そんな冷静なのよッ!!? お頭、生きてますかー!!?」
「オェェェ…って何だこりゃァァァァァァ!!! 目にしみるゥゥゥゥゥ!!!!!!?」

バンと、扉を壊す勢いで開けた寝起きキッドはゼーハーと肩で息をする。そのキッドの目の前にはにっこりと微笑む恐怖の義兄妹と、涙目のルネ。

「まぁぁたお前らかァァ……メリア、キラァァァァ!!!」
「「お早う御座います、パパ(父さん)」」
「しれっとすんなぁぁぁぁ!!!」
「きゃああ!! 家壊れますよお頭!! 落ち着いて下さいっ!!」

ドゴーンという崩壊音がご近所中に響き渡った。悲鳴と絶叫と笑い声………。今日もユースタス家は絶賛平和崩壊中です。



---アトガキ---
現パロやってみたかったというお話←
メリアを高校生にするか、研修医にするか迷った末研修医に。
他3方は大学生とか、就職しているか…という所です。
それでもって、この家の家族構成は父・母・兄・妹の4人家族。
時々ローさん遊びに来るといい。そしてロクでもない遊びを教えて行けばいいさっ←
そのせいで殺虫剤とかできたんでしょうけれども…どこに閉まってあったかはユースタス家の七不思議だと思う(笑

110402

魅せられる煌めきは色褪せずに 現パロ?



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -