「Trick or Treat!!」
「…は?」

今日はハロウィン。あ、発音良くすればHalloweenですね。お頭に笑顔で手を差し出せば、凄く嫌そうな顔をしました。

「あー…ニッキ飴でいいか?」
「…悪戯決定ですね」

まさかのニッキ飴でテンションガタ落ちです。能力発動と言わんばかりに手を胸元へやれば、「ゲ」と言うような顔のお頭。

「わーったよ、やりゃあいいんだろ」
「最初からそう素直に差し出せばいいものを」
「お前は何様だ」

お頭はズボンのポケットに手を突っ込んでガサゴソと探す。それにしても時間がかかりますね〜。四次元ポケットじゃあるまいし。ようやく見つけたのは、チョコレート。それを私に差し出した。

「有難う御座います」
「おー。つか、お前の事だからこれだけじゃ足りないと言うと思ったんだがな」
「んー…まぁ、そうですけど」
「そうなのかよ」
「でも、私に渡さない分、ルネさんに沢山渡して欲しいなあーって」

にーっこりと笑って言えば「そうかよ」とそっぽを向くお頭。イベントがある時くらいは素直になって欲しいなあって思うんです。こう、特別な日って思い出に残るじゃないですか。最悪な思い出なんて誰だって作りたくない。だから、素直になって下さいね? そういうと、お頭は仕方なさそうに溜息をついて、その場を去っていった。

「何してるんだ、メリア」

後ろからの声に振り返れば、そこにはキラーさんがいました。

「またコスプレの披露か?」
「違いますよ、今回は」

今の私の服装は、ゴスロリ風魔女っ子。ハロウィンにちなんで、1ヶ月かけて作りました。特に手がこんだのは、裾のレース部分と、胸元の編み上げ。あとはミニハットの装飾には1週間くらいかかりました。

「キラーさんに問題です。今日は何の日でしょうか?」

左手に持つ杖を少し傾かせて笑顔で問題を出せば、すぐに返答は帰って来ました。

「あぁ、ハロウィンか」
「正解〜♪ 見事正解したキラーさんには、魔女からのプレゼントです」

ミニハットの中に隠していたキャンディを差し出せば、キラーさんは無言で受け取る。気に食わなかった訳ではないと思うんですが…。

「ありがとう」

ふいに頭上からそんな声が聞こえて、少し顔が赤くなりました。でも戸惑いながらも返事をします。

「え、と…どういたしまして」

そういうやり取りをしている時だった。キッチンの方から、物凄い殺気と共に騒音が響いてきたのは。思わずそちらに視線が行く私とキラーさん。安易に想像できる事が起こり、キラーさんは大きく息をはいた。

「またキッドが何かやらかしたな」
「そうですね…。ルネさん、大丈夫だといいんですけど…」

ルネさんはハロウィンと言う事で、特別なケーキやお菓子を作っている筈。多分、それを邪魔したお頭はルネさんとまぁ、色々とやってるはずです。

「本当にこんな日でも争い事が絶えないな…」
「まぁ、それがうちの海賊団ですから。あ、そういえばキラーさんも何か着ません? 狼男とか似合いそうです!」
「…いや、遠慮しておく」
「あれ、残念です。ルネさんは何でしょう…サキュバスとか? じゃあお頭は吸血鬼がいいかも」

頭の中で想像を膨らませて行く私の隣で苦笑するキラーさん。そんなキラーさんを見て私は微笑った。すると、キラーさんが何か思い出したかのように言った。

「あぁ、そういえばまだお返しをしていなかったな」
「いえ、いいですよ。キラーさんにはいつもお世話になっていますし」

けど、そんなことも聞いてないのかキラーさんは顎に手を添えて考え始めた。そしていい事が思いついたように、私に向き直った。キラーさんは自分の顔に手を伸ばしてマスクを取り外した。それに私は呆気にとられてしまった。年に何度見れることがわからないキラーさんの素顔。それを突然見せられたら驚いてしまう。
呆然としている私を気にもせず、キラーさんはしゃがんで私と同じ目線にした。そして、それは起こった。右頬に生温かい柔らかい感触。何が起きているのか、理解するのに時間がかかった。キラーさんはすっと頬から顔を離して耳元で囁いた。

「今回は、これくらいでいいだろう?」

顔が火照っていくのが分かる。私は咄嗟に手で口を覆った。楽しそうにキラーさんは笑っている。すると、第三者の声が割って入ってきた。

「メリアちゃんに手出したのキラー?」
「ルネ、さん…」
「あらあら、顔が真っ赤よ? 大丈夫じゃないわね。相当重症みたい」

困ったような笑顔を浮かべてルネさんは私の頭を撫でた。そしてキラーさんに敵意にも似た笑顔を見せた。

「あまりに酷くなるようなら、私も見逃しておけないわよ」
「そこまで手を出すつもりはない」
「キラーのそこまでって、どこまでなのかしらね?」

飄々としている二人を、私はただ見ていることしかできません。戸惑いを隠せない私にルネさんは微笑んで言った。

「ハロウィン限定のパンプキンケーキ、食べましょ?」
「ホントですか!? 食べます!」

一気に笑顔になる私を見てルネさんは嬉しそうに微笑んでいる。そして私たちは楽しいハロウィンパーティを始めることにしたのでした。



---アトガキ---
久々に更新したのがハロウィンとは…そしてお頭登場少なっ!!
いや、どこで出すかとかお頭は大変なんです。
そして今回はメリアとキラーの絡み!!
一度やって見たかっただけ← 
結果凄い事になったけど…多分この後、皆メリアにコスプレさせられます。
物語で言ってた服装を予め作っていて、それを無理やり…(笑
でも結局お頭がシャンパンとかぶっかけまわして汚すっていうオチ←

101031

魅せられる煌めきは色褪せずに 🎃



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