『え、また交換留学…ですか?』



交換留学ver.立海



 またか、というような呆れ交じりの表情を見せた名前に担任は苦笑を零した。

「そうだな。青学の時と言い、申し訳ないんだが校長たっての希望なんだ」
『校長…?』
「交換留学後に軽いレポート書いたろ。あれが大好評でなあ」

 といった担任に名前は表情を歪めた。前回の青学の交換留学の内容を、氷帝に戻ってきたから軽いレポートにして提出するようにと言われ、とても簡単に名前はまとめた。他に選ばれた数名よりも自分のくだらない内容に好評が及ぶなどと思っていなかった為、「嘘でしょう…」と内心頭を抱えていた。

「悪いんだが、また行ってくれないか?」
『構いませんけど…次は、』
「神奈川にある、立海大附属中学校に行って欲しいんだ」
『…立、海?』

 聞いたことのある名前に、名前は小さく首を傾げた。「じゃあ頼むな」と言った担任の言葉もあまり頭に入らないまま、「立海…立海…」とブツブツ呟きながら教室に戻る名前。廊下ですれ違う生徒たちは「ついに気がおかしくなったか」と引き攣った表情でいることに、名前は気づいてはいなかった。そして教室に戻り自分の席に着いてからもずっと悩み続けていた。

「…お前、さっきから何ぶつくさ呟いてんだ?」

 名前の前の席に座った跡部は、物珍しそうな表情をしながら名前を見る。

『ああ…アホベか
誰がアホベだ。ったく…人が折角心配してやってんのに」
『え、あの跡部が心配? うっわー、ないわー
「てめぇっ……、で一体どうしたんだ」

 なんとか堪えた跡部に名前はいかにもつまらないと言った表情を浮かべるが、「交換留学」と一言いうと机に突っ伏した。

「交換留学…? お前、前も青学に行ったろうが」
『それが校長たっての願いらしくてさ…』
「ほお…で、次はどこだ」
『…立海』
「…立海だと?」
『そう…どっかで聞いたことあるんだけど、思い出せないんだよねー』

 うーん、と唸り声を上げる名前に、跡部は何とも言えない表情を浮かべていた。そして、ぽつり呟くように言った。

「テニス全国優勝校だ」
『…え?』
「男子テニス部2年連続全国優勝校、立海大附属。強豪校だ」
『あー、なるほど。だから聞いたことあったんだ』

 ぽんと、いつの間にか起き上がっていた名前は掌を叩いた。跡部は、多分宍戸か向日あたりにもで聞いたのだろうなとすぐに思った。確かにその通りなのだが。名前はいつの間にかメモ帳を取り出して、先程跡部が言っていたことを書きこんでいた。

「あそこは個性的なメンツが多いからな…気をつけろよ」
『…ここも十分個性的すぎると思うんだけどね』

 「まあ、一応素直に受け取っておく」と言った名前。そして「あ、そうだ」と何か思い出して跡部をまっすぐに見上げた。

『生徒会長の権限でさ、留学期間短くしてくれない?』
「…できないことは、ないと思うが」
『うん、じゃよろしく』
「…でも、どうしてだ?」
『…恋しくなるじゃん』

 「自分のいる場所がさ」と笑った名前に跡部は少し驚きを隠せなかった。前回の青学の交換留学の時でさえそんなことは一切言わず、ぴんぴんして帰って来ていた。だが今回はきっと遠いことを知って不安にでもなっているのだろうと跡部は考えた。

「…わかった。だが、寂しくなったらいつでも俺に連絡しろ。すぐに迎えに行く」
『おー。でも跡部じゃなくてがっくんにする
「てんめっ…!」

 そうして長い長い二人の論争は始まったのであった。



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跡部がなんだかんだで優しいってこと。

11/11/13

暴れん坊な遠野妹が立海でわちゃわちゃ@



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