『交換、留学…?』



交換留学ver.青学



 名前は帰りのHRが終わってすぐ、担任に呼ばれた。素直に担任の元へと訪れれば彼は開口一番「交換留学に興味はないか?」と訊ねてきたのだ。名前は聞き慣れない単語に首を傾げた。

『えーっと…』
「他校と生徒を交換して、その学校の良いトコを見てきてうちの学校にも取り入れようとか…まあ、簡単にいえばそんなところだ」
『はあ…でもまた、なんでわたしが』
「そうだなあ…強いて言うなら、お前が適任だ」
『そうですか?』
「サボるにはもってこいだぞ」
いいですね、やらせていただきましょう
「こんの不良!」

 と口ではいいつつもニコニコ笑っている担任に、名前はきらりと目を輝かせていた。簡単に釣られていいのか、とクラスにまだ残っている生徒たちは思っていたが流石に口に出す勇気はなかった。

「同じ都内だからな、案外簡単に行ったり来たりできるぞ」
『へえ、都内なんですか』
「ああ、青春学園。聞いたことぐらいはあるんじゃないのか?」
『青春学園…ああ、跡部やがっくんが時々口にしているのを聞いたことはあります』
「そうかそうか。まああそこのテニス部が有名だからな。詳しい資料はあとで回すから、じゃあ頼むぞ」

 ひらひら〜と手を振って教室から出て言った担任を見送って、名前はふーっと息をはいたのだった。



■  □  ■




「あー、いたいた」
『…おー、がっくん。どうしたの』

 図書当番をしていた名前の元に珍しくやってきた岳人に名前は視線をやった。普段、放課後に訪れるなどという事は滅多にないのは部活で忙しいからだ。そんな彼がやってきたので名前は手にしていた本をしおりを挿めてカウンター脇に置いた。

「跡部がこれ図書委員長に渡せって」
『OK、分かった。あとで渡しておく』

 そういって手渡しに資料を貰えば、「そういえば、」と名前は岳人に話を持ちかけた。

『がっくん、青春学園てどんなとこ?』
「は? 青学? 青学は…って、そんな事聞くなんてどうしたんだよ?」
『交換留学に行くことになった』
「交換留学ぅ? へえ、よくオッケーしたな」
『まあね。で、どんなとこなの?』
「そうだな。まあ無難にテニス部は有名どころだな。その中でも俺と同じアクロバティックを得意とする菊丸はほんとムカつく野郎だぜ」
『へぇ…』
「なんか自分は技術沢山持ってますよーみてぇな顔してホイホイ下手なアクロバティック見せつけやがってよー。ましてやこの歳になってまで語尾ににゃーなんてつけてるとかどんだけだよ」
『…う、ん?』
「しかも大石大石うっぜぇの。言動も何もかも子供っぽいし」
『がっくん、かけ離れってってんだけど。青学じゃなくて菊丸の話になってる』
「それでな、」

 と名前の話も聞かずにペラペラと文句及び愚痴を零す岳人に名前はついにプチーン…となにかが切れた。

…いい加減にしろや、コラ。言動もなにもかも子供っぽいって、てめぇ人のことなんも言えねぇだろうが。お前も侑士侑士うっざいし妙なところではしゃぐところなんかいかにもお前何歳児って感じじゃんか、なにか違うかコラ?
「え、あ、え…」
わたしは青学の説明を求めたんだよ、わかる? それをまあ無駄な時間ベラベラと愚痴なんかこぼしてくれちゃってさあ…どう責任とんのよ
「え、いやあの…ほんとすんませんっした」
すんませんで済むなら警察はいらねぇんだよコラああああああ!!
「当たり前だよっ!! 警察はいらねぇし!! ってぎゃああああああああああああああ」

 その後…岳人の魂が抜けていたのは図書室にいた数名の生徒だけが知る話となったのだった。



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図書室の主は絶対に怒らせてはいけません。

11/11/13

暴れん坊な遠野妹が青学でわちゃわちゃ@



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