『…』
「…」
 あれ、どうしてこうなった?



出会っちゃいました



 氷帝男子テニス部元部長、名前不明の為彼のことはメッシュ先輩としよう。メッシュ先輩と名前は偶然氷帝学園敷地内でバッタリと出くわした。お互いに驚きを隠しきれないようで、二人とも目をぱちくりとしている。

『あー…と、こんにちは』
「あ、…こんにちは」
『良いお天気ですね』
「え、あ…え!? …えと、うん。そうだね」

 今はかなりの曇り空なのだが、彼は取りあえず話を合わせておくことにした。お互い確かに面識はあった。名前はテニス部に跡部が入部した時にその実力を見に行ったとき、彼が跡部に敗れたところを見ていたとので知っている。だが彼が自分を知っているとは知らない名前。彼は彼で名前と出くわしていたのだ。

『どうかされたんですか? 中等部方面に高等部の方が来るのは珍しいですし』
「ああ…ちょっと、所用で」
『そうですか』

 お互い面識があった所で会話が成り立ち弾むわけはない。名前はそのままそそくさとその場から去ろうとする。だがそれを彼の方が引き止めた。

「あ、ちょっと待って…下さい」
『? はい、なんでしょうか?』
「遠野、名前さん…だよね?」
『そうですけど…』
あの跡部を入学1週間後に土下座させたっていう、遠野さん、で合ってるよね?」
『ええ。入学1週間後に跡部に土下座させた遠野であってますよ』

 そう、…名前は入学1週間後に跡部に土下座をさせて学園中から注目を集めてしまった。というのも、跡部が名前の堪忍袋の緒を切ってしまったのが悪い。入学してまもなく学校に多額の資金援助したり、生徒会長になると言いだしたり、テニス部改革を始めたりと名前の目につくところでとんでもないことをした。そういう順序を踏まえないことが嫌いで仕方ない名前からしたら、いや誰でも驚き唖然とすることなのであろうが、それに名前は啖呵切って連続プロレス技を仕掛けて跡部に土下座させたのだ。
 よくそんな昔のことを覚えているなと思った名前は一体なんなのだろう、と彼の言動を不思議に思っていた。一方の彼は「そっか…」となにやら安心した様子で(しかもなんか嬉しそう)名前に向き直った。

「俺、実はその時偶然遠野さんのこと見かけて…」
『あー…それまた大層な場面を』
「うん…。でも、遠野さんが跡部を土下座させたの見て、凄くすっきりしたんだ。ありがとう」
『えっと…、お礼を言われることかわかりませんけど、取りあえず有難く受け取って置きます』
「うん、本当にありがとう」

 そういい何やら照れ笑いを浮かべる彼に名前は首を傾げて、「じゃあわたしはこれで」といい背を向けて歩き出す。すると「遠野さん!」と彼の声が聞こえて振り返れば彼が少しだけ何かを躊躇ったような顔をしていた。だけど何か決心したようで名前に向かって叫んだ。

「今度、また、お話しませんか!?」
『…え、あ………はい!』

 そう答えた名前に彼はなにやら安堵した表情を見せた。そんな表情を見た名前は彼に笑って見せた。

『じゃあ、また…メーちゃん先輩』

 そういった彼女に、彼は「え」と凄く驚いた表情をしたが既に背を向けてしまった名前にそれは分からなかった。



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11/11/13

暴れん坊な遠野妹が氷帝でわちゃわちゃD



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