『…しっしー』
「…おう、なんだ(しっしー?)」
『わたし、実は一年の時から考えていた計画を実行に移そうかと思っているんだけどね』
「へー…どんな作戦なんだよ?」
跡部撲滅作戦計画



さあ、地球にやさしくしようか



 名前の突発的発言はもう慣れだ、と自分に言い聞かせてつるんでいた宍戸は、今名前が言った言葉に思考回路が一瞬停止した。そして「跡部撲滅作戦計画」という言葉が何度も脳内を回り回った所で、「宍戸?」と彼の目の前で手を振る名前にハッと我に帰った。

「い、いや…名前…お前どんな作戦立ててんだよ」
『えー? だってさ、アイツ金持ちのくせして地球にやさしくないじゃん』
「地球にやさしくないって…具体的には」
『まず世界各国を飛び回ること。無駄に台詞が長いとこ。俺様なとこ』
「…一番最後のは入っていいのか?」
『いいと思う。いや絶対』
「そ、そうか…」

 若干引き攣った笑みを浮かべる宍戸に名前は見事にスルーする。

『それでね、アイツを地球から追い出せばかなりの二酸化炭素の排出を抑えられる筈なんだよ』
「おー…」
『だからまずアッパーで始まり続いて回し蹴りとサソリ固め、キャメルクラッチ、最後にジャーマン・スープレックスで決めてから追い出そうかなーって』
「良くそんなにプロレス技が次々と口から出せるな…」
あー…お兄に仕掛けられた技は全部覚えてるんだよ
お前の兄貴どんだけ異常なんだよ。つか妹にそんな技仕掛ける兄貴ってお前苦労したんだな…」
『うん思い出したくもないから暫くお兄の話はやめようか。それでこれを仕掛けてロケットに括りつけて宇宙へひとっ飛び』
「まずロケットどこで調達すんだよ。第一仕掛けるのに一苦労だろうが」
『そこは大丈夫。跡部財閥の力をもってすればロケットは簡単。そして乗せるふりして大気圏突入したら外に放り出す』
「悪知恵でお前に敵う奴いない気がする」
『ははっ、ありがと』

 「褒めてねぇよ」という言葉を宍戸は一応飲み込んだ。そして大袈裟に大きな溜息をついて「実行するのに何年かかるんだか…」と呟けば、名前はきょとんとした表情を見せる。

『何言ってんの。もう実行しているけど』
………は?
『ほら、そこの掃除ロッカー開けてみ』

 と名前が指さした掃除ロッカーを凝視した宍戸。そして見る見るうちに血相を変えて瞬間移動でロッカーを開ければ自分が思った通り魂の抜けている跡部がそこにいた。

「跡部ええええええええ!!!」
あはは、良い気味だよ
「お前いつからそんなドSになったんだよッ!!」
兄の影響がとっっっても強いです
真顔で答えんな!! そして答えになってねぇ!! つか実行に移そうかなじゃなくてもう移してんじゃねぇかあああああああ!!」
あはっ☆ そこは宍戸の顔に免じて許してよ』
「何故に俺!!?」
『じゃあがっくん!』
「人代えれば良いって問題じゃねええええ!!!」
『じゃあどうすりゃいいの』
「どうするとかこうするとか最早異次元問題だから!」

 頭を抱える宍戸に名前は首を傾げるが、やがて地面に座り込む宍戸の肩に優しく手を置き…そして、

「…名前」
『宍戸…』

 にこり、と柔らかに微笑んだ名前に宍戸は一度涙ぐむ。きっと今までのはいつもの軽い冗談で、俺や跡部に構って欲しかったんだろうと。そう思った宍戸の考えは呆気なくうち砕け去る。

アンタも地球にやさしくしようか
前言撤回イイイイイイイイイイイイ!!!



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跡部の扱いの酷さと宍戸の不憫さ。

11/11/13

暴れん坊な遠野妹が氷帝でわちゃわちゃC



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