掌編小説 | ナノ


▼第四十八夜 「言霊」

言葉には力があります。
だからみだりに悪い言葉を使ってはいけないと、そう実感する出来事がありました。

皆さん知ってのとおり、僕には忍術が使えません。
ですから忍者になるなんて無理だとクラスメイトにからかわれていました。
何とか下忍になれても、同じ班員のネジには勝てずにいて…。
やはり天才は格が違うんだ、いくら努力しても僕は強くなれないんじゃないかと、怖くて怖くてたまらなかったのを覚えています。
そんな悩みを僕はガイ先生に打ち明けました。
そのときに言われたんです。

自分を信じない奴に、努力する価値なんてない。

それを聞いてから、僕は弱音を吐くのをやめました。
自分ルールを作って稽古に励み、目標を達成したときには昨日の自分より強くなれたのだと信じて突き進みました。

すると成果は少しずつ現れました。
中忍試験前の一年で、ガイ先生の指導のおかげもあって体術がぐんぐん伸びたんです。

しかし同じ班員たちも、僕の成長をただ待っていたわけではありません。
長所をさらに伸ばして、さらに手強い相手になっていました。
ネジはやはり強いです。
でも“決して手の届かない相手ではない”、そう思えるようにはなりました。

きっと弱音を吐いていたらたどり着けなかった境地だったでしょう。
ガイ先生の言葉は、僕の弱さを解き放ってくれたんだと思っています。

――ネジ…いつか、本気で手合わせしましょうね。

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