掌編小説 | ナノ


▼第四十六夜 「負ぶさる」

木ノ葉から砂の国に向かう途中、緩やかだが延々と続く登り坂がある。
少し遠回りするルートになるから、知っている者も少ないだろうが…。
その坂は一人で通ることが禁止されている。
そう、出るらしいんだ。

とは言っても何かが見えるわけではない。
どさっと負ぶさってくるらしい。
振り払おうにも実態がなく、ただ重さのみが伝わってくる。
そして一歩進むごとにその重さは増していく。
しかし決して膝をついてはいけない。
一度でもつこうものなら二度と立ち上がれはしないのだから…。

なあに、そこまで怖がる話でもない。
こいつはいくら団体で行っても、必ずグループに一人しか負ぶさらないらしいからな。
それに坂の終わりまで持ちこたえれば何も障りないし、もしそれが無理でも誰かに肩を貸してもらえば、なぜか軽くなるという。
だから一人で行きさえしなければ何も怖いことはない。

ただ、いきなり重さを感じる場所というのが、数十年前まで赤子が捨てられた場所だと噂されている。
口減らしが当たり前のように行われていた時代はかつて確かにあった。

――もしそれが本当なら、こんなに重い話はそうそうないだろうと、オレは思っている。

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