掌編小説 | ナノ


▼第四十一夜 「祭りの男の子」

木ノ葉の夏祭りって、一度は行ったことがあるだろ。
つっても、商店街でやってるちまちました出店のことだけどよ。
ガキの頃はその日だけ特別に夜更かししてもいいってことになってたから、わりかし楽しみにしてた。

だけど盛りあがるのって、たいてい初日だけなんだよな。
三日目ともなると、もうアカデミーのダチも付き合ってくれねぇ。
だから最終日は赤丸とたらふく食う日になってた。
そこに自然と加わってくるガキがいた…。

いつもキツネの面をつけてたんだよな。
暗部みたいにきつめの顔じゃねぇ、キャラクターもの。
夜に出歩くにはまだ低い年齢だろうに、一人で祭りにきてた。
親が出店してるから好きに遊べんだろうなーとは、子供心に思ってたけど、実際に聞いたことはなかったな。

で、腹でも空かしてるのか、買ったものを食おうとしたときを見計らって駆け寄ってくる。
まー毎度のことだから、初めから大盛り頼んでたし、それ自体はべつによかったんだが…。

アカデミー卒業間近にもなると、さすがに祭りではしゃぐ年齢でもねぇし、何年か行ってなかった。
そんで下忍になって、会場準備の任務が回ってきた。
数年ぶりに祭りの雰囲気を感じたけど全然変わってねぇのな。
肉の少ない焼きそば屋も、すぐに紙が破れる金魚すくいも、全然変わってなかった。
お面屋の品揃えも変わってない。
でも、キツネのお面は、どこにも売ってなかった。

それが引っかかって、ある店で聞いてみた。
そしたらこう言われた。

――キツネの面は、九尾の襲来があってから、木ノ葉では扱ってないよ。

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