掌編小説 | ナノ


▼第四十夜 「行列」

みんな、行列って並ぶ?
デカ盛りで話題のラーメンとか、産地直送で新鮮が売りの海鮮丼。
最近だと観光地で目玉にしてる温泉卵がすごい人気らしいね。

ボクは食べ放題派だからそんなに縁がないんだけど…。
でもたまに行列を見かけると、何に並んでるんだろうって気になるよね。
それで、十班でこんな遊びをしてたんだ。
最後尾から先頭に向かって歩いている間に、いちばん先に何の行列かを当てられた人の勝ち。

若い女の人、ママ友集団、カップル…。
これは簡単、新しくできたパンケーキのお店。

主婦、親子、主婦、八百屋のおばちゃん…。
お総菜屋さん、かと思ったけど、商店街の福引きだった。

サングラスの男の人、老紳士、カカシ先生…。
本屋で行列ができるなんて意外。
何かの発売日だったのかな。

浴衣の人、甚平の人、花火に見とれる里の人々…。
ソースの焦げる匂いがしたのに、アスマ先生はお好み焼きと間違えたよね。
あの列の早い進み具合からしていっぺんにさばける焼きそばしかあり得ないでしょう。

色んな行列を見ていると、けっこう楽しいもんだよ。
そんな遊びを数ヶ月も続けてると、あることに気がついたんだ。

あれ、あの黒いベストの人、よく見かけるなぁ…。

最初はその程度の認識だったんだけど、気がついてから探してみると、いつも行列の前の方にいる。
よほど並ぶのが好きな人なのかもしれない。
物好きもいるものだなーって、そう思ってたんだけど…。
ボクたち、ある日見ちゃったんだ。
その人が並んだ途端、列が一気に長くなるところを。

まるで招き猫みたいねぇー。
いのが感心したように言っていた。

あのおっさんにサクラやらせりゃあ、商売繁盛するな。
本当にシカマルの言うとおりかもしれなかった。

だけどボクは知っていた。

――その人、病院の受付の人なんだよね。

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