掌編小説 | ナノ


▼第三十八夜 「家鳴り」

そういや、一人暮らしを始めた頃、こんなことがあったな。

当時、昼間は任務、夜は出歩いてたんで、家には寝るためだけに帰っているようなもんだった。
だがその日は嵐が近づいていた。
なるべく外出は控えるように言われてたんで、終日大人しく家にこもることにした。

そうすると、今まで気にならなかった家鳴りがやたら耳に入ってきた。
まあ木造の古い作りだったし嵐なら仕方ないか。
そう思って諦めていたんだが、夜通しガタガタと風の音がうるさかった。
おかげで熟睡は出来なかった。

そんなグチを翌日カカシに話した。
そしたら、見事に意見が食い違う。
確かに嵐はきた。
しかし夕方にはもうきれいに晴れていた…。

カーテンも閉めっぱなしだったから、カカシの言うことを完全には否定できない。
だがそれなら、あの家鳴りはなんだったんだ。
首を傾げながら家路についたら、大家からの手紙がポストに入ってたんだよな。

同じアパートの住民から苦情がきています。
壁がうすいので、配慮ある生活をお願いします。

――…もしかして、オレの部屋の中で何かが暴れてたのか?

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