掌編小説 | ナノ


▼カカシ×本体色

「それじゃあアドレス交換するぞー。各自携帯を出してくれ」

下忍昇格のサバイバル演習が終わった。
合格後最初に踏む手順は、お互いの連絡先を交換することだった。
オレが下忍になったときはまだなかった習慣だ。
そもそも任務に携帯を使うようになったのはここ最近のこと。

「先生の携帯って、赤なんですね」

取り出した携帯の色に反応したのはサクラだった。
さすが、女の子はそういうところも気にするらしい。

「あ、ホントだ。もっとじじくさい色かと思ってたってばよ。赤ってなんか若々しくてセンセーには似合わねー」

「あは、言えてるーっ」

「……じじくさいって、お前らな」

自己紹介のとき、年齢くらいは言っておくべきだったか。
こいつら絶対、オレが二十代だって言っても信じないだろうよ。

「ま、実はオレも赤はそんなに好きじゃないけどね」

「え、じゃあなんでその色を?」

「ん、あぁ、これか?」

持っている携帯に目をおとしてから思う。

こいつら、さっきまで下忍になれるかの瀬戸際だったってのに、合格した途端態度でかくなるな。
サスケにいたっては「無駄話はいいからさっさとアドレスを教えやがれ」って雰囲気を醸し出しすぎ。
こりゃ絶対オレのことナメてるわ。

ここはひとつ、忍の厳しさを教えておくべきか…


「いやぁ、上忍にもなると返り血を浴びる任務が多くてなー、この携帯も元はシルバーだったんだけど、色が変わっちゃって」

へらっと頭に手を当ててそういうと、

「「「………………」」」

凍りついた三人。

いや、冗談なんですけどネ。

本当は在庫がこれしかなかっただけ。
急に入り用になったから入荷待ってる暇なくて――と言っても、今さら信じてくれなさそうには真面目に引いている。

だいたい忍がそんな危険な任務に個人情報が盛り沢山な代物持って行くわけないでしょうに。

あるかないか微妙なチームワークに、すぐに騙される分析力のなさ――こりゃ相当先が思いやられるな、とカカシは人知れず溜め息をついた。

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