掌編小説 | ナノ


▼サスケ×グループ名

アドレス帳に連なる名前はたったの三つ。

うずまきナルト
はたけカカシ
春野サクラ

同じ班員、業務連絡のためだけの連絡先。
少な過ぎるそれは、見やすくするために五十音順に並びかえるまでもない。

「サスケ君って、アドレス帳のグループ分けはしてる?」

「……何のことだ?」

「ほら、例えば私はナルトとカカシ先生は“七班”グループに登録してるの。グループ分けしてるとメールの一斉送信とか出来て便利なのよ」

「へぇーオレってば知らなかった」

「ちなみにサスケ君は特別でー、グループは“好きな人”に入れて登録してあるの…キャー!」

「……あのねぇサクラ、それって一人しかいなかったら、グループって言わないと思うんだケド」

「もうっ、先生には乙女心ってものが分からないんですか?」

「いんやサクラちゃん、カカシ先生のいうとおりだってばよ。だからオレもそのグループに入れた方が――」

「は、ナルトを?死んでも嫌ッ!」

「なっ……またサスケばっかり、ずるいってばよ!サスケなんか“馬鹿”で充分だっての」

「勝手に言ってろ、ウスラトンカチ。オレが“馬鹿”ならお前は“ドベ”だ。ついでに名前も“ビビリ君”に変えといてやるよ」

家族はいない。
友達も。
ずっとそう思っていた。

「てんめぇ、まじで登録する気だな!?」

「フン、教える義理はねぇな」

「やめろ、返せっ」

「これはオレの携帯だ。返すも何もない、ウスラトンカチが」

ピッ――

「あ゛ぁーー!?サスケェ、まじにしやがったな、このヤローッ!!」

――仲間。

たった三人しか登録されていない、物寂しいアドレス帳。
予測変換にもなかった言葉を、グループ名としてつけた。

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