▼第二十二夜 「写真の空白」
この歳まで生きてると、色んな場面で写真を撮ってきた。
下忍結成時の写真、中忍試験合格、上忍昇進。
そんでまたお前ら下忍を受け持って、新しいチーム写真。
不思議なもんで、そういう写真ってみんな家の目につくところに飾っとくもんだよな。
オレの知り合いもそうだった。
そいつはカメラが好きで、家族写真なんかもこまめに替えていた。
それどころか里の住人も手当たり次第に撮っていく。
今までの写真を年代順に並べると壮観だぜ。
で、宅飲みしたときにそのコレクションをひと通り見させてもらったんだが、どうも気になる写真が何枚かあった。
同期で水浴びに行ったときの写真だ。
楽しそうに笑ってる人の周りが、何枚か置きに点々と焼け焦げている。
ちょうどタバコの火を押し当てたような跡だった。
ここ、焦がしたのか?
オレが尋ねると、そいつは黙って別の写真を寄こした。
違う時期に同じ場所で撮った写真だ。
同じ焼け跡が何枚かあった。
決定的だったのは、ある女性の肩にあった空白だった。
きっとはっきり映っちまってたんだろうな。
人型に焼ききられていたよ。
ネガを見るかと聞かれたが、酔いが覚めた状態ではさすがにうなずけなかった。
――任務でその場所を通るときは、今でも写真の空白が頭を焼きついて離れない。
prev / next
←back