掌編小説 | ナノ


▼サクラ×バトン

「予測変換バトン? なにそれ」

「まあ、いいからあんたもやってみなさいって。後で送っておくからさ」

「んー…気が向いたらやっておくわ」

最近木ノ葉にも普及し始めた携帯電話。

一応班の連絡に必要で持っているけれど、正直私はメール機能しか使っていない。

その点いのは持ち前の好奇心で大抵の機能を使いこなしている。
それどころかみんなの先をいこうと常に新しい発想で色んな遊びを考え出していた。
いつの間にか“バトン”という言葉が定着したのは、いのの影響だ。

予測変換バトンというのも、その一種かもしれない。


その日の夜、帰宅後に携帯を開くと、新着メールが一通入っていた。
いのからだ。
内容は昼間に話していた例のバトンのことだった。

始めにバトンの簡単な説明が書かれている。
出されたお題の文字を変換して、上位五つを打ち出すだけの簡単なもの。
この間みたいに無意味に100個の質問に答えるよりよっぽど楽だ。

お題は三文字の言葉。
候補がずらずらと書き連ねられている中から、適当なものを選ぶ。
明日文句を言われるのも面倒だから、さっさと返信してしまおうと、右上のボタンを押し画面を切り替える。
変換したものを送るだけだし、画面もろくに見ずにいのに送信した。

しかしその翌日、

「あんたのとこのチームワーク、大丈夫なの?」

本気で心配されたメールの内容は…

『さ→
サスケ君
サスケ君は
サクラ
先に行ってて
殺気

か→
カッコイイ
勝手に死ね
可愛い
簡単
隠れ

な→
何時
ナルト
なんで
情けない
泣き虫』

思わず感心してしまったくらい、うちの班の現状を物語っていた。

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