掌編小説 | ナノ


▼第三夜 「病室の先客」

サスケ君が入院してるとき、こんなことがあった。

お見舞いにきて、病室を目指していたとき、くもりガラスの向こうに人影が見えたの。
誰がきたんだろう。
ついさっき、いのは店番をしていたから、女の子がくる予定なんてないと思った。
だけどぼんやり見えるその影は、長い髪の女の人みたいだった。

廊下は静かだったけど、病室の話し声は漏れてこない。
だからサスケ君は寝ているんだと思ったけど、その人はずっとそばに立っていた。
飽きもせず、ずっとサスケ君のことを眺めてた。

よほど親しい人なのかな、と思ったら、私は中に入ることが出来なくて、廊下のベンチで待つことにした。
だけどしばらく経っても出てくる気配がない。
そのうち持ってきたお花が気になって、花瓶だけでも取りに行こう、と思ったんだけど…。

病室の扉を開けると、もう人影はなかった。
私は廊下で待っていて、誰も出てくる人はいなかったのに、病室にいるのはサスケ君だけだった。
後でナースステーションで尋ねたけど…その日、私の他にお見舞いの人はいなかったんだって。

――こういうことを目の当たりにすると、入院だけはしないようにって、気合い入るわよねー。

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