掌編小説 | ナノ


▼テンテン)引っ張る

心のどこかでずっと思っていた。
リーはガイ先生のお気に入りで仕込まれているし、ネジは元から天才肌だ。
だから期待のルーキーがいる班なのに、一年目の中忍試験を見送られたのは、きっと――。

「ハァー…」

今日は暗器の手入れをしていても気分がのらない。
ガイ先生が緊急招集され、時期的に今年もあの季節がやってきたとピンときてから、テンテンは気が気ではなかった。

だからガイから中忍試験の推薦書を手渡されたときは我が耳を疑った。

「テンテン、二人のことを頼んだぞ。リーとネジは優秀な忍だが、少し周りが見えなくなる節がある。うちの班はテンテンが引っ張ってやってくれ」

ガイの課した修行で、いつも最後尾を行くのはテンテンだった。
誰も口にはしないけれど、テンテンにはガイ班の足を引っ張っている自覚があった。
それなのに上司の評価は、想像とは百八十度異なるものだったのだ。

「――はい、任せてください!」

熱いガイのことだ。
きっとネジにもリーにも、見えないところでおだてるようなエールを送ったに違いない。
それでも、ガイ班の一員として大切に扱われている。
その事実が何よりテンテンを勇気づけた。

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