掌編小説 | ナノ


▼ネジ)弱い者いじめ

額当てをしているヒナタを見かけたとき、思わず立ち止まってしまった。
相手は一人だが、ネジは任務帰りだ。
チームメイトが何事かと尋ねられれば、何もなかったかのように立ち去ることもできなくなってしまった。

「下忍になったようですね。おめでとうございます、ヒナタ様」

「あ…ありがとう、ございます…ネジ兄さん……」

相変わらず歯切れの悪い態度だった。
ヒナタにとって下忍とは、おそらく自ら望んだ道ではなく、流されてたどり着いた場所でしかないのだろう。
日向の宗家としてだけでなく、忍としても目の前をうろつかれたのでは、たまったものではない。

「…そういえば、面白い家庭訪問があったようですね。ヒアシ様があなたの下忍昇格を快諾したとか」

あなたは捨てられたんだ。
そう睨みをきかせると、思わぬところから助けが入った。

「ネジ、らしくないわね。あなた大丈夫?」

テンテンがネジの前に割って入り、震えるヒナタの背中をさすりだす。
かすかにうなずくヒナタを見て、ネジの心は加速度を増して冷めていく。

弱い者は、いつだって守られる。
そしてその犠牲になるのは、今度は自分なのだろうと。

- 15 -

prev / next


back

[ back to top ]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -