掌編小説 | ナノ


▼サスケ)うちはの影

下忍になって、火影から通帳を手渡された。
任務の報酬が振り込まれるのかと思ったが、赤い通帳はどこか使い古された雰囲気があり、また見覚えもあった。
名義を確認して納得する。
うちはフガクの財産を、ようやく相続できるようになったのだ。

家に帰って改めて通帳を開く。
事件の翌月から、毎月同じ金額が引かれていた。
それはそのまま自分が毎月受け取っていた生活費で、そうか親の金だったのかと気がついたとき、つい先日購入したばかりの写真立てが目に入った。

窓側に置かれた写真立てには、第七班の集合写真が飾られている。
これは親からの卒業祝いだ。

そして同時に考える。
相続人のいない、一族の他の人の財産はどうなったのかと。
それはきっと、里の資産として回収され、公共のために使われたのだろう。
公園のベンチや、こまめに修復される火影岩や、孤児のための教育費や――死して尚、うちはは木ノ葉に息づいている。

目を閉じれば集落の賑わいが聞こえる気がした。

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