きみだけ
【モデル】
「働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない働きたくない」
「一色、きもこわい」
「黄瀬!もうやだよ働きたくないよ。大人になったら嫌でも働かなきゃいけないのにどうして子供なのに働かなきゃいけないんだよちくしょう!」
撮影の合間に黄瀬の部屋に来てソファにふんぞり返り駄々をこねる。
「一色はなんでモデルになったんっスか。」
「私が美人でスタイルいいから」
「ナルシストめ」
「てめーにいわれたかねーよ」
ちゅーーっとストローに口をつけてジュースを飲む。ちらりと黄瀬の方を見る。
「黄瀬はどうしてモデルになったの?」
「俺がイケメンでスタイルがいいから」
「しね」
口を尖らせながら不満を唱える黄瀬を見て少しだけ笑う。
「本当、あれっスよね。一色、テレビに出てる時と素の時と違いすぎて」
「当たり前じゃない、ばかなの。」
鼻で笑いながらジュースを飲んだ。モデルだからスタイルが、なんて気にしてる女の子たちには悪いが私は食べても飲んでも全然太らないので気にしていない。
なんて言うと反感を食らうから言わないが。
「こんなに素で話すのなんか黄瀬くらいよ。」
ぽつりと呟く。彼に聞こえるか聞こえないくらいの声で。聞こえなかったのならそれでいい。聞こえていたとしてもそれもいい。
「え、それって…」
これが恋の始まりというやつなのだろうか。
こうやって恋愛は始まり、発展していくのだろうか。
目を見開く黄瀬をみて柔らかく微笑んでみせる。
「あんたが舐められてるってことよ」
モデルの黄瀬のおでこをパァアン!とでこぴんをしてその場から立ち去る。
まだまだ私達が恋愛に発展することはないだろう。