きらきらティアラ
きらきらとしたそれが眩しくて、必要とされるのが怖くて逃げ出した。私を掴もうとする腕を私は拒否して逃げた。前に進むふりをして、本当は一歩も進めてなんていなくて、それでも必死に逃げ出すためにもがいた。私はずっと逃げることしか考えていない。
出会い頭に熱い抱擁。一瞬誰だか理解出来なくて、でも視界の端に映るきらきらとした髪の毛とその上にちょこんと乗っかっているティアラをみて名前を呼んだ。
「ベル!」
抱きついてきた本人は名前を呼ばれて嬉しそうに口角をあげた。
「ししっ暫くみない間に髪の毛伸びて女らしくなってるじゃん。」
「ありがとう。ベルも大人っぽくなったね。背、のびた?あとベルも髪の毛ちょっと長くなってるね。すきだよ、その髪型。」
背中にまわした手は外そうとせずそのままの体制で会話をつづける。
廊下のど真ん中でしてるもんだからまだ挨拶を交わしていない部下達が目が合わないようにしながらもちらちらとこちらの様子を伺っていて何か申し訳ない気持ちにさせられる。
「会いたかったよ、ベル」
「ちぇ、嘘ばっか。ずっと会いたかったのは俺たちの方で、一色は一切姿見せてくれなかったくせに」
「ごめんて。でもこれからはまた一緒だから、ね?ほら食堂にいこう。ルッスやレヴィにも会いたいな。マモは?あとあれ。新人君。」
フランだったか。その名前を出した途端ベルはあからさまに不機嫌そうな顔をした。なるほど、手を焼いているとは聞いていたが、仲がすこぶる悪いのか。
これは少し面倒臭そうだなと、後頭部をボリボリとかいた。