はじまり。
本当は少し怖かった。泣いてしまいそうだったから。だから先にスクアーロに中に入ってもらって、予想通りワインボトルがクリーンヒットしたスクアーロを見て笑い飛ばしてやろうと思ったんだ。
「あっはっはっは!!!」
頭から赤黒い液体を服や床に滴り落ちるのを見てお腹を抱えて笑った。
ドアをあけて最初に飛んできたのはワインボトルだった。
避けようと首をずらしたスクアーロの首を更に元の位置に戻るように引っ張った私をスクアーロは睨みつけた。
血だかワインだかわからない液体をずっと垂らしながら私を睨みつけるスクアーロに、ポケットからハンカチを取り出して渡した。
お前のせいだと言いたそうにしながらもそれを黙って受け取った。
ワインボトルの攻撃を避けるためにスクアーロの影に隠れていた私はそこから前に出てきて部屋の主の元へと近づいた。
主の座るソファの前まで行くと片膝をついて彼に挨拶をして手の甲に敬愛の意をこめたキスを落とした。
「ザンザス、ごめんね。ずっと帰ってこなくて。今日からまた頑張るから、だから」
だからまたここに私の居場所を、
「ヴァリアーに入隊させてください。」