緑と紅色




音もなく涙を流した。溢れ出る涙を止める術を知らなくて、ただひたすらに。
どうしていってしまうの?私のことを放って行かないで。お願い、もう、私は誰も失いたくないの。



「フラン!!!!」

不覚だった。まさか、相手からこちらに何かを仕掛けてくるなんて、思いもしなかった。一番手前に居たフランが、切られてしまった。
幸い傷は浅かったが、ひとまず退くことにした。

「フラン、大丈夫?フラン…」

「そんなに心配する程でもないですよー。浅い切り傷ですー。」

わかってる。こんな浅い傷、死ぬ事なんてないのに。

それでも、

「血、フラン、血が…、」

指が小刻みに痙攣する。震えて、抑えようとして拳を握っても、どうしても治らなくて。

あぁ、血が。綺麗なエメラルドグリーンが、紅で染まっていく。

「いや…ぁ…ごめんな、さい…っ、私、私がっ…悪いの…っ!」

だからお願い。
私の前から、居なくならないで。



[ prev - back - next ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -