04白昼*

窓から差し込む光で目が覚める。

嗅ぎなれない部屋の香りにバッと身を起こすと、腰に鈍い痛みが走った。

「〜〜った……」

机、椅子、本棚。
目に入るすべての物がわたしの部屋ではないことを物語る。

シーツが肌に直に触れる感覚で、自分の恰好に気付いた。
黒いワンピースは胸が露わになるほど乱れていた。

夢じゃないんだ。

痛みをこらえて窓に近寄って、外の様子を見る。
朝というよりかは昼に近いようだ。

ひとまずシャワーを浴びながら事の成り行きを整理しようかと2、3歩あるいたところで扉が開く。

ヴォルデモートだった。

慌ててワンピースを直しながら後ずさる。

「隠すこともあるまい」

そんなわたしを笑いながら、近づいてくる。
昨晩肌を合わせただろってことだと思うけど、そんなすぐには割り切れるわけないじゃない。

彼はベッドに腰を下ろすと、隣に座れというように指を動かした。
言われた通りにする。

「本当に貴様は利口だな。今までマグルは魔法を否定し泣き喚くような者ばかりだと思っていたが」

マグル?
疑問符を浮かべるわたしに彼は付け足す。

「魔法使いでない者のことだ」

嘲笑うかのような声色に、下等な扱いを感じた。
やっぱり、あなたは……。

「闇の帝王……?」

片眉を上げるような表情をするから「最近、噂になってて」と慌てて付け足す。

「口が緩い者がいるようだな」

ということは、本当にこの人は、闇の帝王なんだ。

ネットのお伽話かと思っていた。
あの書き込みが本当であるとしたら、確か普通の人間を葬ろうとしてるんだよね。

「わたしも殺すんですか」

つい、出てしまった質問。
ゆっくりとこちらを見返す動きに、少し緊張する。

今すぐには心の準備がついてないし、拷問とか痛いのは勘弁だけど、近々殺されるというなら心の準備はしておきたい。

「俺様の気分次第だ」

1番心の準備がしにくい回答が返ってきた。
頭の中では困りつつも反応せずにいると、くっと笑われる。

「死を恐れていないのか? 面白い奴だ」

顎を掴まれ、まじまじと顔を見られる。
詰まる距離に鼓動が高鳴った。

「何より、俺様しか男を知らないというのが気分が良い」

そこか。
頬が熱くなる。
少しだけ、処女を守っていて良かったと思ってしまう。
悔しい。

蛇のような目に射抜かれて硬直していると。
するり。

「え、」

もう片方の手がワンピースのスリットから入り込んできた。

「いま、ひる」
「セックスは夜にするものだと誰が決めたのだ?」

囁くように問われて、ぞくりとした。
入口をやんわりと擦られて甘い刺激が走る。
いつの間にか押し倒されて、顎を掴んでいた手は首筋、デコルテをなぞって胸を丁寧に愛撫する。

突然の始まりに心臓がバクバクとうるさい。

「ん、」

指がゆっくりと中に入ってきた。

「やはりまだ……しかし昨晩よりは幾分呑み込むな」

くちゅくちゅと掻き回される音に、もうこんなに濡れてしまったのかと思い知る。
わたしの体、どうしちゃったんだろう。

細長い中指と薬指が、膣内を蠢く。

「あ、?!」

更に親指が、膨らみ始めた肉芽を擦って高い声が出てしまった。
少し触られただけなのに刺激が強すぎて戸惑いが大きい。

弱みを見つけたかのように、重点的に攻められ始め、声が抑えられなくなる。

「だめ、そこ、っ!」

びくんと跳ねて、あっさりと達してしまった。

ゆっくりと指が引き抜かれる。
わたしに見せつけるかのように揺らされたその指は、ぬらりと艶めいていた。

ヴォルデモートはそのまま、その手で衣服を緩め、ペニスを取り出す。

昨晩はきちんと見なかったから、つい見入ってしまった。
こんなのが、入ったんだ……。

最初に先の部分を何回か出し入れして、十分に濡れていることを確認すると、ぐっと奥に進み始める。
やっぱり、まだ痛い。
痛いけど、昨日よりは大丈夫。

慣らすような穏やかな動きがしばらく続く。
回したり、押し当てたり。
丁寧な動きにすっかり身を委ねて、痛みを耐える。

「ん、ん」

痛みがかなり和らぎわたしの反応が良くなってきたところで、突然。
速さを増したピストンが始まった。

「ひ、……ぁ! あ!」

昨晩よりも激しく、快楽を求めるような。

ベッドが軋む。
ヴォルデモートの呼吸も荒い。

昨晩知られたからか、感じやすい部分に何度も当てられて、気が狂いそうになる。

動きが激しい分、肉芽への刺激も大きい。
しかもさっき達したばかりの敏感な状態だ。

これまでで1番高い声が上がる。
抑えようがなかった。

体を弓なりにして、わたしは果てた。

「はぁ……っ」

追うようにヴォルデモートも果てる。
どくどくと中に放たれる精液を感じながら、必死に呼吸を整えた。

しかし、ずるりとペニスを抜かれる感覚にまた反応してしまう。

「いやらしい女だ。不慣れにはもう見えぬ」
「、あなたが……あっ、」

脈絡もなく細長い指で精液を掻き出し始める。

「俺様が、なんだ?」

止まらない指。
掻き出すだけじゃない、ささやかに愛撫してくる。
だけど果てたばかりで敏感になったわたしには十分な刺激だった。

「こんな風に、させるから……、っ」

ささやかだった動きが、激しく掻き回すような動きへと変貌する。

「?! ……!」

またも肉芽まで擦られて。
あっという間に絶頂へと誘われた。

甘い痺れに体がひくひくと痙攣する。

「煽るようなことを」

もうどちらのものかわからない液で濡れた手に舌を這わせながら、ヴォルデモートは立ち上がった。
そしてはだけた衣服を脱ぎ棄てながらシャワーの方へと向かっていく。

その後ろ姿をぼうっと見つめる。

これから毎日、いつ殺されるかわからない。
いつ相手をさせられるかわからない。

突然訪れた非日常に、クラクラする。

でも今のところ、その非日常を続けてみたいと思ってしまっている。

「何考えてんだ……」

あの人の言う通り、いやらしくなってしまったのかもしれない。

ほてる頬を抑えて、ため息をついた。

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