03初夜*
「賢いな。日本人は」
金縛りは解けたが、大人しくベッドに座るわたしを見て、感心したように言う。
今まで、どこの国から女を拉致していたんだろうか。
「俺様の名は、ヴォルデモートだ」
「……ヴォルデモート……様……」
やんわりと押し倒され、そのまま顎を掴まれ、観察される。
「瞳が暗い」
もう片方の手がスリットから忍び込んできた。
横腹から尻、太ももへと撫でられ、体が跳ねる。
「肉付きは……無い方か?」
それは嬉しい。
けど、どうしよう。喜んでる余裕はない。
品定めするように触れる、その手は止まらない。
しもべってやっぱり、夜の相手って、ことか……。
「!」
ついに、あそこに手が触れた。
反応したわたしが面白いのか、1度手を止めて顔を覗き込む。
「まるで処女のようだな」
ギュッと目と口を閉じて何も答えずにいると、いきなり指が入ってきた。
ぐいぐいと躊躇なく。
「いっ……」
「本当に処女か」
カッと顔が熱くなる。
だって、怖かったんだもん。
そりゃ、そろそろやばいなとは思ってたけど……。
まさかこんなかたちで捨てることになるとは。
すると、指が抜けていく。
まさか、もう?
相当な痛みを覚悟し目を瞑り続けていると、
「は、」
突然あそこにぬるりとしたものが触れ、口が開く。
知らぬ間に呼吸も止めていたようだ。
「え……?」
目も開くと、先程までこちらを覗き込んでいた顔は無い。
少し起き上がると、わたしの股間に顔を埋める姿があった。
痺れるような快感に足が跳ねる。
どうやら舌で愛撫してくれているらしい。
普通の人間よりも舌が細長いのか、中へ滑り込んでくるような動き。
手も内腿を撫でつける様に動いている。
段々と荒くなる呼吸、声が漏れるのを恐れ、口を手で塞ごうとすると。
またも金縛りのように自由が効かなくなった。
「声を聞かせろ」
そう言うと、今度は口全体を当てて、強く吸うように愛撫を始める。
強い快感がわたしを襲った。
「あ、まって、やめ、」
当然やめてくれるわけはない。
むしろ今までのわたしの反応から、いいところを執拗に責めてくる。
わざと音を立ててるのだろう。
かなり濡れてしまっているのが耳で伝わって、羞恥が煽られる。
口を紡いで、ん〜と耐えるけど、虚しい努力だった。
「……〜〜あっ」
ヴォルデモートは顔を上げ、肩で呼吸をするわたしを見て満足気に笑む。
「慎ましいのも、なかなか良いな」
今まで激しい女性しか相手にしてなかったの?
みんなすごいな。
恥ずかしくて声なんて出せないよ……。
「しかしそう居られるのもここまでだ」
ドキリとする。
ふわりとワンピースを捲られ、胸を露わにされる。
すーっと空気が肌を伝って、胸から下まで丸見えなんだって分かって、頬の熱が上がる。
そっと横腹を撫でられたかと思うと、顔が胸に降りてきて、ちろりと舌が肌を伝い始めた。
これは、やばい。
さっきまで遠くにあったヴォルデモートの体がわたしの体に重なるようになっている。
全身の熱が上がる。
「ひ」
横腹を撫でていた手はいつのまにか下に降りていて、指がするりと入ってきた。
先程の愛撫のおかげか、さっきよりも痛くない。
むしろ、……。
柔らかな抜き差しと掻き回すような動きが繰り返され、水音も大きくなっていく。
下の快感を意識していると、胸にも刺激が走って、声が上がる。
指の本数が増されても、少しすれば痛みは和らいで、むしろばらばらな動きに翻弄される。
あれ、わたし、いつのまにか喘いでる。
そんなわたしの様子を見て、くく、と笑うとヴォルデモートは起き上がった。
そして自分の服を緩ませながら口を開く。
「実に淫らだ」
その言葉にカーッと全身が熱くなる。
自分でももう、余裕がなくなっていることはわかっていた。
しかも、求め始めてる。
もっと触ってほしいって、思い始めてる。
ぴた、とあそこに何か当たった。
どくんどくんと、熱い。
何かって、分かってる。
「い゛っ……っ〜〜」
少しずつ、少しずつ、奥へと。
ヴォルデモートのそれが入ってきた。
痛い。
涙が滲んで、視界がぼやける。
「呼吸を整えろ」
言われて、また息を止めてしまっていることに気づいた。
落ち着いて、深く、呼吸する。
力んでしまっていたことにも気づき、力を抜く努力をする。
「そうだ。良い子だ」
褒められて、調子が狂う。
でもずっと疑問を感じてた。
この人、悪い人なんじゃないの?
しもべ相手に、なんでこんなに優しく抱いてくれるんだろう。
わたし、この人に。
惹かれてるかもしれない。
「は……は……」
ある程度まで入るとゆっくりと抜き差しが繰り返され、慣らされていく。
くちゅくちゅとした音と、お互いの呼吸音だけが聞こえる世界。
ヴォルデモートの両手はわたしの腰を掴んで、撫でたり、腰の位置をずらして中の当たるところを代えたりしている。
「あっ」
ふと、痛みよりも快楽が勝り、声が漏れた。
それを聞いて、その場所を責めるように抜き差しの動きが荒くなる。
更に痛みは小さくなり、快楽が増していく。
なに、これ。
自分では無いような、泣いているかのような喘ぎ声。
信じられない。
ヴォルデモートの言う通り、もう声を抑える余裕なんてなかった。
「だ、め、おかしくなっ……」
さっきの柔らかな動きなんて消えて、わたしの制止なんてお構いなしに激しいピストンが続く。
シーツをぎゅっと握って耐えようとするけど何の意味もなかった。
肌と肌がぶつかる。
もう全部入ってるんだ。
快楽の波に呑まれ、ついに頭が真っ白になった。
「あぁ゛、あっ!」
「くっ」
わたしが締め付けたからか、ヴォルデモートも果てる。
中に熱が放たれるのを感じて、体が震えた。
お互い、荒くなった呼吸をしばし整える。
そのうち、頭がぼうっとしてきて。
わたしはそのまま意識を捨てた。
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