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結婚してくれないか?


ここ最近いつに増しても忙しそうにしていた真緒くんが急に会いたいと言ってきたので、私は真緒くんの家を訪ねた。同級生として彼と接していると、普段あんまり弱音を吐くような人でもないので、どうしたんだろうと妙に不安になりながらインターフォンを押すと、反対に妙に明るそうな真緒くんが出てきた。

「急に会いたいとか言うから心配したんだよ。でも元気そうで良かった。」
「心配かけたんだったらごめんな? まぁ何で会いたかったかは中で説明するからとりあえず入って。」

そう言って真緒くんは私を部屋に招き入れた。久しぶりに真緒くんの家に入ったが、相変わらず綺麗に整頓された部屋で心底感心する。あんなに忙しそうだったのになぁ。どこに片付けする時間があるのだろうか。

ぼんやりしていると、部屋の上にある一つの紙切れに目がいった。その内容に目を見張る。どこかで見たことのあるその紙は、なんと婚姻届であった。しかも真緒くんの名前とサインが入ってある。真緒くんってもうそんな感じの彼女がいたのか。前からモテるタイプの人であったが、やっぱり結婚するのも早いなぁ。そう思い、

「真緒くん結婚するんだね! 早いね〜おめでとう! でももうちょっと早く言ってくれたら良かったのに〜。」

そう茶化しながら言った。すると真緒くんは不思議そうな顔をして、

「……何言ってんのなまえ。結婚するの俺となまえだからな? 」

と私に言ってきた。
あまり状況が把握しきれずに固まっている私に真緒くんは続ける。

「ここ最近本当に大変だったんだからな〜? 結婚するには色々準備が必要だろ? まずは結婚式をするための資金、婚約指輪を買うためのお金、後は家か? 二人で住む家なんだからある程度は広さが必要だろ? だから必死で仕事して金貯めてたんだよ。それでようやく全部なんとかなりそうだったからお前を家まで呼んだんだよ。」

そう言った後に会えなくて寂しかっただの今会えてとても嬉しいなどと言っている真緒くんの言葉がうまく頭に入ってこない。とりあえず分かったのは、真緒くんがどうやら私と結婚するために色々準備していたということである。何だそれ。どうなんだそれ。私って真緒くんと付き合っていたっけ。いや、付き合ってない。それなのに真緒くんは私のために資金を集めてしまっている。むちゃくちゃ断りにくいぞこれ。

「高校の時から思ってたんだよ。お前って危なかっしくて本当に目が離せないって。だから俺がお前のために何かしないとなって。もう無理して頑張らなくてもいいからな? だからさ。」


「俺と結婚してくれるよな? 」

と照れ笑いながら私に指輪を通してきた。

とても高そうなそれは、私にはすごく重かった。