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浮気者に制裁を



20章までのネタバレ有

留学生≒夢主






いきなりここは魔界で、君は一年間ここで過ごすんだよ〜悪魔の兄弟の一緒に暮らしてね〜とか言われても夢だと思うじゃん、うん。
夢の割には長いし、何か自分では見たこともないようなイケメンな兄弟たちが私に優しいしで、私は結構ヤケクソになった。
途中で怖い目にもあったけど、兄弟たちと過ごすのは楽しかった。全員と契約していくのもスタンプラリーみたいで段々楽しくなっていったしね。
留学が終わる日が近付いてきたよ、って言われた時は(ああ、夢の終わり時かなぁ)なーんてしみじみ思って、悪魔たちが迫ってきてもなんだか雰囲気的にしないという選択肢が取り辛く、全員とキスしてしまったわけだ。典型的なジャパニーズのワタシ、普段では考えられない行動を取ったのは、夢だと思って調子に乗ったからです。はい。
しかし、もしかして夢ではない?と思ったのは、人間界に戻った初日に自分の姿を鏡で見た時である。

「何だこの痣。痣っていうかこれ…。え、キスマ…?き、キスマークか…?」

首元のちょっと見えなそうなところに僅かに痣のようなものがあったのを発見した。これは絶対に怪我して〜とか虫刺され〜とかではない。人為的に付けられたものである。そしてそれに心当たりがあった。

「る、ルシファーか………。」

最後の夜、なんとなーくルシファーのいる書斎に行ってなんとなーくお喋りして、せっかくだから契約して欲しいな〜なんて言ったあと、またしても雰囲気に呑まれて彼にキスをした。キスをしたまでは良かったのだが、ルシファーは他の兄弟とは違った。あれよあれよという間に彼の部屋に連れて行かれ、まぁまさかそれで何もないというわけもなく、流されるままにやっちまったわけです。私もまぁ夢だしいっか〜って思った。思っていた。

「え、いや、嘘。え?夢じゃない?……………ひ、私7人とチューしたってことか……。とんだ痴女だな……。はず……。」

その後、兄弟から定期的にメッセージや電話がくるのを見て、夢じゃないということを確信したのであった。


-------


人間界に戻ってきてからしばらく経った頃、私に恋人ができた。
告白された時はどうしようかなと思ったけれど、今はそれなりに優しい彼に満足している。
悪魔兄弟たちには積極的だった私も、さすがに現実では恥ずかしくて自分から何かできるわけではない。そもそも夢だと思っていたからあんなことできたわけで、夢じゃないならなんてことをしてしまったんだ、と後悔の念に押し潰されているくらいだ。
だからなんとなく、彼らに恋人ができたことは言わないでいた。言ってしまったら、なんだかまずい気もするしね。


なーんて考えていた日があったのだけど、悪魔や天使が人間より一歩上の存在だっていうことが完全に頭から抜けていた。
今私の目の前にはニコニコしているルシファーがいる。私は恐らく顔が青ざめていることだろう。ルシファーは、いつの間にか私を壁際まで追い込んでいた。ここは彼の部屋である。そう、私はソロモンによって魔界に戻されたのである。

「言い訳を聞こうか、なまえ。」
「言い訳……?な、なんの……?」
「は?」
「ひっ、ご、ごめんなさい。でも本当に何か分からないです。」
「そうか。本当に分からないのか。じゃあこれを見せよう。」

ぴらり、ルシファーが見せてきたのは一枚の写真。しかしただの写真ではない。私と恋人のデートの写真だった。

「随分と仲が良さそうだ。最近恋人になったんだってな。」
「へ、へへへ……。よく知ってるね……。」
「褒めてないが?」

ルシファーはそう言って私の頬を無遠慮に片手で掴んだ。私の唇が頬に挟まれて突き出たまんまの情けない状態になる。

「で、言い訳は?」
「い、いいわへっへ……。」
「何を言ってるか分からない。」

り、理不尽!だったら手を離してよ、と目で訴えたけれど、ルシファーが凶悪な目付きをしていたので言葉が出てこなかった。お、おかしいな……彼は私と契約して、私が主人のはずなのに、彼に押し負けてしまってるだなんて……。

「まぁ君のことだ。あの時は夢だとか思っていたんだろう。そうだな?」
「……は、はひ。」
「そうか。俺は君と繋がれて最高に幸せだと一瞬でも思ったんだがな。まさか人間界に戻ってすぐ他の奴に浮気するなんて思いもしなかった。流石に早すぎだろう。」
「へ、へへ……。」
「褒めてない。」

ぎゅううう、とさらに彼の片手が頬に食い込む。痛い痛い痛い!きっとルシファーがマモンにしてるお仕置きより絶対に百億倍くらい優しいはずなのに、目の前の悪魔の圧が強すぎて段々と体が震えてきた。えーん怖いよお。

「言ったはずだ。君が俺を所有するのではなく、君が俺のものになるんだと。」
「い、いっへまひた。」
「もう他の誰にも渡さないと、そう言っただろう。それで、君はそれを受け入れた。そうだろう。その小さい脳味噌では覚えてないか?ん?」
「お、おぼえへまふ。」
「そうか。じゃあここで今すぐそいつと別れろ。」
「ん?!」
「でないとこいつを末代まで呪う。俺は他の悪魔とは違って最上級だぞ。どうなるか、分かるな?」
「……………お、おわかれしまふ……。」

その後、ルシファーはいつのまにか持っていた私の携帯をニコニコしながら取り出して、目の前で別れのメッセージを打たせた。そして、目の前でブロックしろと言われ半泣きでブロックした。ごめんなさい、あなたとの日々、忘れない……。いや、たぶんきっと忘れさせられます。ごめんなさい。
私が彼をブロックしたのを確認したルシファーは、私をギュッと抱きしめてきて、ああもう逃げられないなぁとげんなりと思った。よりにもよって悪魔の長男と最終日に濃い思い出を作ってしまったのがいけなかったらしい。

「なまえ。」
「はい。」
「ベッド行こうか。」
「ひ、」