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月神香耶side
元の身体に戻るめどが立たない。
その事実は約一名の男を酷く混乱させたようだ。
身体は私、中身は三成君のこの男である。
「三成君は三成君らしく振る舞ってくれていいよ。どうせ長引けば隠し通すのは不可能だもの」
「ま、香耶も基本的には作業蔵に引きこもってるしね」
半兵衛君も私の……っていうか三成君の顔色の悪さを流石に気の毒に思ったのか、フォローを入れてくれる。
彼に月神のみんなをだまし通すことはあまりに荷が重いだろうからね。
「三成君には不自由な思いをさせるだろうけど、私もできるだけ手助けするし、しばらく辛抱してくれないか」
「は……はっ! 香耶様の御名を汚すことの無いよう務めて見せます」
そう見た目私の三成君が私(見た目半兵衛君)に向かって深く平伏すると、それを見ていたその場の全員が複雑な顔をした。
……うん。私も自分の身体にひざまずかれるなんて貴重な体験だと思う。
さて。
「……できれば君にこんな事を言いたくはなかったけれど。我慢してないで厠に行きなさい。三成君」
「…………!!! し、しかし……、香耶様の許可を」
「三成君、落ち着きたまえ。君がどこを探しても香耶の姿は見つからないよ」
「っ!!?」
そらそうだ。彼が私なんだから。テンパってんなぁ、三成君。
「ここは女の身体でもうけもの、くらいに思っておけばいいのに……」
「俺、香耶はもうちょっと恥じらいを持ったほうがいいと思うなぁ」
そうかい。
この後、いつもの作務衣に着替えるか着替えないかでまた一悶着あったのは、言うまでもない。
※続かなくなったのでこれで完。(2014/2/6)
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