28

月神香耶side



「何やってんだてめぇは」

ごち。

「あいた!!」

目が覚めると、歳三君のげんこつが降ってきた。




「ここは………私の部屋?」

呟きながら周りを見回した。私と千鶴ちゃんの部屋で間違いはない。簡素な衝立で仕切った奥に私は寝かされている。
そして歳三君は私の部屋に書類を持ち込んで、書き物の仕事をしているところだったようだ。

「ったく、心配かけさせやがって。総司なんかほとんど寝ねえでてめえの看病してやがったんだぞ」

「寝ねえで、って…私はそんなに危ない状態だったのかな?」

「丸二日も眠りっぱなしで熱が出てた上に、総司が自分のせいだっつんで落ち込んでたんだよ」

歳三君は、私の枕元にある水を張った半切桶に視線をやった。


「あぁ、うん。身体の節々に違和感を感じるのはそのせいか。………でも総司君のせいなんかじゃないのに。彼は人が好いというか馬鹿正直というか…」

それにしてもあの総司君がかいがいしく他人の看病をする様子など想像できないのは私だけだろうか。
見たかったな。こんなことなら寝てばかりいないで起きとけばよかった。

「確かにな。あいつのことをそんな風に言えんのはてめえくらいだ。総司が巡察から帰ってきたらその減らず口聞かせてやれよ。それから、山南さんとか、みんなにもな。特にゼロの野郎は半狂乱だったみてえだしな」

ああ、だろうね。それは容易に想像できるよ。



「雪村に何か用意させようか。食いてえもんはあるか?」

「じゃあ……甘いもの」

「菓子は今度にして今は粥でも食っとけ」

「だったら聞かないでよ……」

千鶴ちゃんが作ったものなら何だろうと文句ないけどね。

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