沖田総司side




その日の夜、香耶さんは湯の入った桶を持って、僕の部屋にやってきた。


「どうしたの。夜這い?」

「そうです、なんて言ったらどうするの?」

「うーん…いいよ」


にやりと笑って返すと、香耶さんは僕から視線をそらせた。


「何がだよ。……嘘です。冗談です。本気で考えないで。
あ、でも当たらずも遠からず、かも」

「え?」


言って香耶さんはいそいそと準備する。自室とここを往復して、手ぬぐいを何枚も持ってきた。




「今から湯浴みしまーす」

「え、香耶さんがここで」

「なんで私だよ!? 君の前でやる意味あんのか」

「そのまま襲われるのかと」

「襲わねーよ! 脱がせるけど」

「え」



香耶さんは僕の布団を剥いで覆いかぶさってきた。
抵抗する間もなく寝巻きの帯を解いて取り去っていく。



「僕の身体を拭いてくれるってこと?」

「その通り。はい横向いてー」

「よくそんな恥ずかしげも無く……これ何? ぬるぬるする。香耶さんの出した液?」

「石鹸だよ!! 阿呆なこと言ってると目に塗りこむぞ」

「いたたたたたっほんとにやる? 普通」

「袖で拭け。寝巻きどうせ替えるから。もうこのまま髪も洗おっと」

「ん、気持ちいいね…」

「寝るな!……いや寝てもらったほうが都合がいいのかな…」

「え、なんで?」

「君が寝てる間に下帯取って下も拭くから」

「ちょっと。そんなこと言われると逆に眠れないんだけど。君は平気なの?」

「何が? ここで君を襲うほど飢えてはいない………はずだけど」

「なんでそこで言いよどむの? って言うか僕はそういうこと訊いたんじゃないんだけどね…」

「結論から言えば平気です。ご要望があればお慰めもしますけど? 手でね」

「………………遠慮しとくよ。魅力的な提案だけど」

「あははは! まあ拭くのは自分でも出来るよね? 心配しなくても脚が出来たら手ぬぐい替えて出てくから。後は自分でやってね」

「………わかった」


このひとは僕より一枚上手だった。



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