忍具の一式。
ここにくるまでに何度も確認した印の結び方。
用意は万端、いつでも来い。

翌日、奈良上忍が言っていた場所に集まる三人。
ロウゼキは今日何が起きてもいいように準備はしてきた。
奈良上忍が来るまでの間も何回も手を小さく動かし、術の練習。

「今更そんなことしたって無駄かもよー」
「うっせえ!やらねえよりマシだっ」

キノのそんな言葉についついいつも以上に声を荒げてしまう。
ナガレはその様子を見ていてため息をついた・・・。



「おー悪ぃ悪ぃ遅れちまったな」
「「おそーい!!!」」



・・・結局奈良上忍が来たのは約束の時間の三十分後だった・・・。
なんだかこの人には出鼻をいつもくじかれているような気しかしねえ!
さっきまでの緊張感マジで返してほしい!

「出掛けにちょっと母ちゃんと色々あってな・・・」

遅れた理由を聞くと、どことなくしょぼんとした様子を見せた。
ぎゃあああやめてくれねえかなそういう表情。
大人なのに大人っぽくない顔されるとどうしてだか可愛く見える。
・・・・ていうか、母ちゃんって何だよ・・・・その年でマザコンなのかおい。
そこらへんは深く追求しないでおこう・・・。

「んじゃとっとと演習場まで移動すっぞー」
「あんたが遅れたんじゃねーか!えっらそーに!」

俺とキノの突っ込みが絶えることない状態のまま、俺達は演習場まで移動した。



「よし、んじゃあ試験開始と行きますかね」



広い広い演習場。
アカデミーでは経験したことのない場所。
そこに足を踏み入れた途端、この上忍の一言が響いた。
空気が凍るような緊張が走る・・・・ちゃり、と奈良上忍の手の中で何かが音を立てた。
そこにあったのは・・・・三つの、鈴。

「今からやんのは、まあちっとしたサバイバル演習みてえなもんだ。
制限時間は今から一時間程度・・・・それまでの間に、この俺から一人一個、鈴を奪い取ってみせるんだな。
ハンデとして、俺自身は術と武器は使わない。代わりに、お前らは俺を殺すつもりでも何でもするがいいさ」

自信たっぷりのその様子、ふうといつの間にか吸っていた煙草の煙を奈良上忍は吐き出した。
っかー・・・余裕たっぷり過ぎてむかつく以外の何でもない!

「へっ、後から武器使わせて下さいって言っても駄目だかんな!吠え面かくなよセ・ン・セ・イ!」
「アホ。たかが下忍が上忍に勝てると思うか」
「俺がぶっ倒してやらあ!」

ロウゼキの好戦的な態度にキノは落ち着きなよ、となだめたが、
ナガレもロウゼキと同じような考えだったらしい、瞳にやる気が現れている。

「うっし、セット完了。準備はいいかてめえら」
「「おう!!」」
「は、はーい・・・」

俺とナガレは勢いよく答えて、キノは少し自信なさげに答えた。

「では・・・・散!」

その言葉と共に、下忍ふるい落としの試験は始まったのだ。





あんたの試練!





(ぜってー乗り越えてやんよ!)





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