「ふん・・・一著前に隠れることは勉強したようだなあ」

これこそ下忍選抜の本当の試験。
俺達猪鹿蝶も昔に受けた、卒業できたと思った矢先にどん底に落とすような面倒くせえ試験だ。
演習場を見渡しながら、奈良シカクは昔を少し思い出した。



「いざ!尋常に!勝負!!」
「・・・・お前さ、忍って漢字何遍か読み返してみろ・・・」



そんなシカクの目の前に立つのは、今回上忍として始めて請け負う可能性のある子供。
隠れることもせずにただただ息を荒くしてシカクに指を突きつける。

((あの馬鹿・・・!))

せっかく気配を消して隠れていたキノもナガレもロウゼキの無茶っぷりに木の上であきれたようにため息をついた。

「俺は逃げも隠れもしねえ!こそこそしたりすんのは性にあわねえんだ!」

単細胞だな、ガキ。
ロウゼキに向けられたその言葉にカチンときたのか、ポーチからすぐさまクナイを取り出し突撃する。

「隙が大きすぎる」
「うお!?」

ぐるり、
俺の視界が反転する。
一瞬にしてロウゼキは、クナイを持った手を引っつかまれ投げられた。
畜生!
舌打ちをしながら受身をとる。

「おーおー、本当に容赦ねえな。まあ、そっちの方が俺としては面白いがな」
「へっ、そのへらへら笑ってる時間もそろそろ終わりだ!」

バッバッ、と三つ程連続してロウゼキははなれたところで印を組む。

「土遁・泥玉鉄砲!!」
「何!?」

一瞬驚いた表情を見せた上忍の様子を見て、少しだけ口角を上げた。
練習した印をきちんと組み終わり、チャクラを口元に集中させる・・・標的に向かって硬質化した泥が弾丸のように上忍に向かう。
土遁は、俺の一番得意な忍術だ!
チャクラとともに吐き出し終わる、視界に埃が舞い上がった。

「へっ、どうだ!」
「なるほど・・・お前、性質は土、か」
「でええ!?」

いつの間にかさっきまでそこにいた上忍はロウゼキの真後ろに立っていた。
さっきのは変わり身か!
タッ、と地面を蹴りまた距離をとる。そう簡単にはやっぱやらせてくんねぇか。

「!?」

後ろに距離をとった途端、自分の体が妙な浮遊感をおぼえた。
ぐるんと先程以上に回転する視界、左足にきた痛み・・・・何だこりゃ!
ロウゼキは縄によって宙吊りになった自分の状況をようやく把握してぎーぎーと叫んだ。

「だぁほ。忍なら敵もそうだが周囲にも気を張るこったな。
お前は動きが直線的すぎんだ・・・罠はっときゃすぐ引っかかると思ったぜ」
「なっ、卑怯だぞこんなの!!下ろせバカ上忍!」
「バカはおめーだろバカ」

ちゃり、
見せびらかすように鈴を見せ付けられる。

「術のうまさだけは認めてやるよ、だがな、お前一人が突っ切ったところで俺に勝てるだなんて自惚れは捨てるんだな」

言った直後、彼の姿はシュンとすぐに消えてしまった。

「ち・・・ちっくしょーー!」

制限時間はあと四十分。急いで鈴を手に入れないといけないのに!
せっかく下忍になれるチャンス、こんなところでフイにしてたまるか!
どうすればいいんだ・・・!?




あんたと手合わせ!





(このまま落ちたら先生と会えなくなる・・・ってそっちじゃねえよ何考えてんだ俺のバカ!!)





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