小さな日課

「あーっ、どうすっかねー…。」

世紀の大泥棒、ルパン三世は肘をついて頭を抱えながらダイニングテーブルで唸り声を発していた。

「どうしたルパン。行き詰まったか?」

目の前で足を上げて雑誌を読んでいる次元は、帽子の下からルパンを見る。
ルパンは心底困ったように眉を寄せて頬杖をついていた。

「完っ璧に行き詰まった。」

「何に。」

ルパンはずっと睨み合いをしていた、なにやらごちゃごちゃと書いてあるコピー用紙を次元の目の前に差し出した。
そこには『不二子人形の作り方☆』と書いてあった。

「不二子ちゃん人形を新しく作ろうと思うんだけっどもな、あの柔らかな体を精密に表現しようとするとどうしても固くなっちまって…。」

「………。」

次元はそれはそれは重いため息をついた。

心配をしてやっていたというのに理由が極めてどうでもよいことで、呆れて言葉も出ない。

「どうすりゃいっかなー。」

「んな事どうでもいいだろが…。」

もう一度雑誌に視線を戻し、次元は開いていたページを眺める。
するとルパンは次元の雑誌の上にその紙を置いて、バンッと両手で机を叩いた。

「良いわけねっだろ!俺様の至福の時間が変わるんだぜ!?」

その行為でさすがに頭にきた次元はその紙を挟んだまま雑誌を閉じてダイニングテーブルに叩き付けた。

「そういうことにお前のその天才的な知能を使うことが間違ってるって言いてぇんだ!」

「どうでもいいこともないし間違ってもない!」

「あーそうかい。んじゃ今の不二子人形をよこせ。射撃練習に使ってやる。」

「ひぃ!悪魔!そんなこと言ってお前まさか俺の不二子人形で遊ぼうってんじゃねぇだろうなぁ!?」

ルパンが大袈裟に両手を頬に当てて怯えたようなフリをして言うと、次元は片眉を上げて動揺した。
まさかこのタイミングで不二子を自分に絡ませてくるとは思わなかったからだ。

「なっ…ば、馬鹿かてめぇは!何が悲しくてんなことしなきゃならねぇんだ!」

するとルパンは幸いにも少し紅潮した次元には気付かず、両手で目を塞ぐ。

「絶対図星だろ!もう次元ちゃんドスケベでやだー!」

「お前にだけは言われたくねぇ!」

「この前だって俺がいない間俺の不二子に手ぇ出そうと…っ。」

「いつの話だ!」

「2ヶ月前。」

ギクッという効果音がつきそうな表情を見せると、ルパンは次元を睨んだ。

「忘れろ!」

「やだね!」

「じゃあ直接忘れさせてやる。脳ミソ貸せ。」

「俺の最高級の脳ミソちゃんになんばしょっと?」

「鉛弾撃ち込むだけだ。」

「断る!」

「じゃあ忘れろ!あれは、その…事故だ。」

「どういう事故なんだよ!」

事故は事故だ!ふざけんな!と2人は絶え間なく言い争っていた。
リビングの片隅で無念無想をしていた五右ェ門は瞼を開いて2人のわけがわからない空気には触れないようにリビングを後にした。

そのタイミングで不二子がアジトの玄関に現れる。

「あら五右ェ門。出かけるの?」

「不二子。今はリビングには戻らぬ方が良いぞ。」

「どうして?」

帰ってきて早々リビングには入るなと言われ、不二子は目を丸くした。

「忠告はしたぞ。」

詳しくは語らず五右ェ門が修行の為出て行こうとすると、不二子は五右ェ門の手を引っ張った。

「じゃあちょっと買い物付き合ってくれない?」

「は?」

「いいじゃない、たまには。どうせリビングではルパンと次元が何かしてるんでしょ?」

有無を言わさず、不二子は五右ェ門を連れて出て行った。

五右ェ門は今の状況で不二子と出かけるのは正しい判断であるとは言いきれなかったが、あのままリビングにいても気が散るだけだと、2人のことは忘れることにした。


その後、夕方になっても戻らない五右ェ門と不二子に、ルパンと次元は悶々と嫌な妄想を頭上に浮かべて帰りを待っていた。


-fin-

〇キリ番3100hit!!
ありがとうございますっ(*´∀`*)
軽い喧嘩を始めるルパンと次元、
そしてそれを呆れて見守る五右ェ門…
でしたが、喧嘩があまり軽くないですね(p_q)
見守ってないし…申し訳ありません(´;ω;`)
ちなみに次元が不二子ちゃんに手を出すというのは
過去に書いた話でルパンが気絶している間に
次元が不二子ちゃんにちゅうしようと
したシーンがありまして(笑)


そして2人の帰宅後…↓

「ただいまー。」

「戻ったぞ。」

ドスドスドス

「こら五右ェ門ーっ!!俺の不二子連れてどこ行ってたんだ!!」

「俺も聞かせてもらおうか。」

「…町へ買い物だ。別に何も…。」

「楽しかったわよ?あんたたちと違って五右ェ門はちゃんとあたしのペースに合わせてくれるし♪」

「俺だって合わせてるじゃないのっ。」

「んーなんか違うのよね。それにあたしたちカップルだと思われちゃった。」

「なっ?!」

「おい五右ェ門!どういうこと…って逃げんなー!!」

「そろそろ修行に行くか…。」


五右ェ門は聞く耳持たずでため息をついて出て行ったとさ(^^)
2人の喧嘩は日課みたいなものだと思ってます(笑)
これは亜梨須様のみお持ち帰り可です*

Thank you for reading!!


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