※R18になるかと。申し訳ありませんが、18歳未満の方はお戻りください。
鼻をくすぐる甘い匂いに首を傾げる。これは、この香りは、先ほどのカクテルに似ている。既に家に帰り着いたというのに、一体どこから。
発信源を探り、目に付いたのは彼女の背中。
「鈴」
呼ぶと、ちらりと視線を寄越す彼女。怖がらせないよう、ゆっくり腕を伸ばし、背中から抱き締める。肩に顔をうずめると、ぴくりと跳ねた。
「な、何」
「鈴、イチゴの匂いする」
驚く声を聞きながら、唇でそっと触れてみる。わずかにのぞく肩に、次いで首に。
「お風呂、に」
「駄目」
申し訳程度に重ねてきた手に、腕の力を少し強める。
「まだ、駄目。これが消える前に、もう少しかぎたい」
「な、なら、かぐだけで」
「んー」
承諾でも拒否でもない、曖昧な返事をしながら息を吸う。ほのかに甘い、イチゴの香り。
「また行こうねー」
耳元でささやくと、鈴が小さくうなずいた。
2014/02/23 01:56:13 Sun