監察が下らないこと監察するな 01


 万事屋に着いた奨と円はソファーに腰かけ、手持ちぶさたに部屋のあちこちを眺めていた。


「どうぞ」


「あ、どうもっ」

「ありがとうございます」


 新八が人数分のお茶を持ってきた。奨と円は小さくお礼をして受け取ったが、銀時はふてぶてしい態度だ。


「何で俺の苺牛乳じゃねーんだよ」

「腐りかけの生温い奴ならそこにありますけど?」

「ちゃんと買っとけよ」

「何で僕が……」

「新八だから」

「だから何でそーなるんだよ」



 仲良しだなぁ……。

 円は二人のやり取りを聞きながら、そんなことを思っていた。無論本人達は仲良しな雰囲気を微塵も出していないが。
 円が何となく奨に視線を移す。その顔には円と同様に笑みが見えていたが、一方でそれがどことなくぎこちなく見えた。長年一緒に居た勘かもしれないが。


「……奨?」

 いつの間にか奨の顔を覗き込むようにして、声をかけていた。


「何ですか?」

 返ってきた返事は思ったよりも穏やかで、いつもと変わらぬものだった。


「えっと……さっき言ってた『文書』って何なのかなー、なんて……」


 苦し紛れのように出した言葉に、万事屋内の空気は一瞬停止した。

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