監察が下らないこと観察するな 02
立ち上がってまで言い合っていた銀時と新八も、いつの間にか沈黙している。
何かいけないことを言ってしまったかと、円は皆の顔を伺った。
銀時が意味ありげな目線を奨に送る。奨は少し困ったように頭をかいた。神楽はその様子を眺めつつ、のんびりとお茶を啜っている。
「そういえばまだ説明してもらってねーよな、弟クン」
そう言うなり、銀時は奨と向かい合わせになるようにドカッと腰を下ろした。そして円と奨をそれぞれ一瞥した。
円も事情がよく分からなかったので、奨が何か言うのを待った。
「……やっぱりご説明しないと駄目ですよね」
「いや言いたくねーなら別に」
「銀さん、でも訳も分からず襲われるのはちょっと……あっ、迷惑だからとかじゃないんですけど」
新八が奨と円の表情を窺いながら口を挟む。何も気に留めていない様子の銀時とは正反対のようだ。
「とりあえず奴等が喚いてた『ブンショ』って何アルか。出せヨ」
「この子ど真ん中にストレート球投げてきたよ!」
我関せずな顔をしていた神楽が突然、事件の核心を突いた。
「しかも軽くカツアゲ風!? 知らないって言ってたじゃん!」
「これが『文書』です」
「……あれ?」
奨が懐から封筒のようなものを出したのを見て、必死にフォローに徹していた新八は動きを止めてしまった。
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