ねえ、いやらしいね

素直じゃないね君は、そう言いながら彼はハルの腰に手を回しぐいっと自分の方に引き寄せた。ソファで珍しく昼寝をしていた彼を起こそうとしていただけなのに、何故か押し倒すような格好にさせられてしまったハルは驚きで何も言えなくなってしまった。困り顔のハルを見て雲雀はにやりと何かを企んでいるような笑顔を浮かべた。

「あ、の…雲雀さん。離して、ください」
「それは無理なお願いだね。そもそも離さなくちゃいけない理由なんてある?」
「え、あ、う、別に…理由はないです…けど。恥ずかしいんです、ハルが!」

もごもごとはっきり言わないハルに雲雀は、声を出して笑う。先ほどの何かを企んでいるような表情ではない、無邪気な笑みにハルは少し安心する。けれど、そんな無邪気な笑みはほんの一瞬で、次の瞬間には悪魔のような微笑に変わっていた。

「ひ、ばりさん。離して、ください」
「折角だから、する?」
「は、ひ…?い、ま何て…?」
「この状況ですることなんて1つしかないよね。分からない?」

雲雀が口にしたことはハルにとってはあまりにも衝撃的で、すぐには理解できなかった。理解してもすぐには心の準備などできるはずもなかった。ハルは顔を真っ赤に染めて、雲雀の胸に顔を埋めた。今雲雀の顔を見ることはハルにはできなかった。

「ハ、ハル…まだ早いと思います。そういうのは…その…」
「確かにそうかもしれない。昼寝には少し早い時間帯だね」
「はひ?!ひる、ね?」
「…何か変なことでも想像した?…いやらしいね、ハル」

からかうように雲雀は笑って言った。そんな雲雀にハルは顔を赤くして、雲雀の胸をポカポカと叩いた。その動きはあまりにも幼く見えて、雲雀は笑ってしまった。


ねえ、いやらしいね


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