生まれて初めての恋をあげる

雲雀には最近気になって仕方ない人がいる。彼と親しい者ならそんなことは簡単に分かる。何故かというと雲雀の周囲の者とも顔見知りの人物だからだ。

「会いたくて、会いにきちゃいました。迷惑、でしたか?」

そう可愛く首を傾げて、上目遣いで雲雀を見つめるのは三浦ハル。彼女こそが雲雀が気になっている人物。雲雀は特に何の反応もせず、ハルを無視して正門を通過した。ハルは急いで雲雀の後をついていく。雲雀はうざそうな態度を取っているが内心、嬉しくてたまらなかった。自分のあとを追ってちょこちょことついて来るハルはまるでひよこのようで、可愛い。雲雀はそんなハルの姿が可愛くて好きだった。

「ねえ」
「は、はひっ」

突然声をかけられたハルは思わず声が裏返る。その声を聞いて雲雀は小さく笑った。あまりにもおかしくて、腹を押さえて彼は笑う。ハルは顔を真っ赤にしてうつむいた。彼は少し落ち着いてから、話の続きを始める。

「君のことが気になるんだけど、どうしたらいい?」
「…え、ひ、ばりさん?」
「頭からずっと離れないんだ、君のことがね」

ハルは少し戸惑った表情をした後、笑いながら雲雀の頬にキスをした。そして、ハルも雲雀さんのことが気になってました、そう耳元で囁いた。


生まれて初めての恋をあげる
title by 待ってて神さま


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