it is reality not a dream

雲雀は変な夢を見た。変というよりも、少し破廉恥なもの。ハルが下着姿で自分に迫ってくる夢。

「…なんかむかつく」

雲雀は一言そう呟いた。まさか自分がそんな夢を見るとは思わなかったんだろう。眉間に皺を寄せてため息をついた。起き上がるのがダルくて、しばらくは布団から出ないでいると、携帯が鳴った。普段滅多に鳴ることのない携帯を開くと、新着メールが1件きていた。メールを開けば、相手は三浦ハルだった。夢のことを思い出してしまい、なんとなく雲雀は返信するのを躊躇う。少し悩んでから、返信しようとメールを打ち始めたとき今度は電話が掛かってきた。突然鳴る携帯に驚きながらも、電話に出ると笑い声が聞こえきた。

「…何?」
「朝から雲雀さんの声が聞けて幸せだなって思ったんです」
「それぐらいで幸せなんて大げさ」

雲雀が冷たく言ってもハルは嬉しそうに笑った。その声を聞いていると雲雀はまた先ほどの夢を思い出してしまった。思い出すなと思えば思うほど、脳裏にはっきりと焼きついていく。そして最初よりも、もっと鮮明に思い出せるほどになってしまった。雲雀がはぁとため息をつくとハルは心配した。一体誰のせいだと思ってるんだ、と勝手にハルのせいにした雲雀は不機嫌そうに別に何でもないよと言った。

「あの、今日会えますか?ハル、クッキー作ったので食べて欲しいんです」
「…今日は用事があるんだけど」
「あ、そう、ですか…仕方ないですね」

ハルのがっかりした声を聞いた雲雀は何かを思いつきにやりと笑って、駅に10時集合と言って電話を切った。本当は用事があるのだが、それよりももっと面白いことを思いついたのだ。だから、会う約束をした。雲雀は機嫌よく支度を始めた。そのときの表情は、恐ろしいほど笑顔だった。


it is reality not a dream
(どうせなら夢の中でじゃなくて、現実で迫ってもらおうか)


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