苺ジャムに溺れちゃう!

突然、ハルは言った。苺ジャムが欲しいです、と。何の前触れもなく、ハルは苺ジャムを欲しがり始めて、欲しいと言われた獄寺はものすごい嫌そうな顔をして振り向いた。俺に買って来いって言いてえのかと鋭く視線を向ければ、ハルは満面の笑みで頷いた。獄寺は何で俺が・・・とぶつぶつ文句を言いながらも買いに行く支度を始めた。そんな獄寺が愛しく感じ、ハルは後ろから抱きついた。抱きつかれた獄寺はどう反応していいか分からず顔を真っ赤にして固まる。ハルは小さく笑い、獄寺の手を掴み歩き出した。

「ハルもついていきます。行きましょう?獄寺さん」
「…仕方ねえな。もたもたすんじゃねえぞアホ女」

獄寺は真っ赤な顔のままそう言うので、いつもの不機嫌顔も可愛く見えてハルは笑った。獄寺さんとっても可愛いですよ、お顔が。とハルがからかうと獄寺はうるせえと言って追いかけてくる。ハルはきゃあとふざけて悲鳴をあげて、走り出した。しばらく追いかけっこをしていると、いつの間にか店についていた。二人はハアハアと肩で息をしながら店の中に入っていった。周りから見れば不審なカップルに見えただろう。

「あ、苺ジャム発見しました。たくさんありますね」
「どれにすんだ?」
「これだけあると困りますね…獄寺さんはどれがいいと思いますか?」

ハルが逆に聞き返すと獄寺は嫌そうな顔をするが、ハルがにこにこと笑顔を向けてくるので何も言わずに苺ジャムを選ぶ。獄寺は一番はじにあったかわいらしいパッケージのものを指差すとハルはそれをかごに入れた。ハルもこれが一番可愛いなと思ってたんですと後から言ったので獄寺はなら最初からそれを選べと文句を言った。

「そうなんですけど、何だか獄寺さんの意見も聞きたくて…。同じものを選ぶなんで運命ですね!」
「ばかかてめえ!運命じゃねえよ!」

ハルがそう言うと獄寺はまた顔を真っ赤にして、ハルの背中を叩いた。ハルはむせながらも、笑いながら言った。

「獄寺さん、この苺ジャム並みに顔赤いですよ?」
「ああもううるせえよアホ女!」


苺ジャムに溺れちゃう!
title by 待ってて神さま


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