探してた恋のカケラ

女の子に生まれて良かったとハルは改めて思った。もし男として生まれてきたら獄寺に恋をすることも、告白することもできなかった。だから、女の子に生まれてきて本当に良かったとハルは思った。ある日のことだ。ハルがフラれるのを覚悟で獄寺に告白すると、獄寺はあっさり告白を受けてくれた。ハルは最初は信じられず頬をつねった。でも痛みは感じる。現実なんだ、と分かった瞬間嬉しさのあまり涙がこぼれおちた。獄寺は突然泣き出したハルをどう慰めていいか分からず慌てた。でもハルはしばらくするとふわりとやわらかい笑みを浮かべた。その笑顔に獄寺は心をがっしり掴まれた。

「ハル、獄寺さんのこと絶対に幸せにします!」
「普通俺の台詞だろ」
「え、獄寺さんハルのこと幸せにしてくれるんですか?」

ハルが瞳を輝かせてそう聞くと獄寺は何言ってんだと言ってそっぽ向き、その問いには答えてくれなかった。けど、横からもはっきり分かるほど頬を染める獄寺にハルは小さく笑った。素直じゃない獄寺が愛しく感じた。ハルは突然獄寺の手を両手で優しく包み込んだ。獄寺は驚いてハルを見つめた。ハルは優しく笑い、手を握り締めた。

「ハル、獄寺さんの手好きです。温かくて優しい、この手が好きです。」
「…。俺はお前の匂いが好きだ」
「! 獄寺さんからそんな言葉が聞けるなんてハルびっくりしました。」

ハルが茶化すようにそう言う。言った本人も自分の言葉に驚いているようだった。でもその言葉はハルにとってとても大切なものになった。ハルは忘れないように、心の奥にしまっておこうと思った。

「獄寺さん、幸せにしてくださいね?」


探してた恋のカケラ
title by 待ってて神さま


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