どこか危なっかしい女の子

危なっかしいというより、ドジな奴だと雲雀は思った。でもそんなところが可愛いと思っているけれど、そのことは口が裂けても雲雀は言えなかった。自分の気持ちを伝えるなんてめったにしない彼が、可愛いなんて言ったりしたらハルはどんな反応するのだろうか。雲雀はハルの反応を想像してみて、小さく笑った。思わず緩んでしまった口元を押さえた雲雀は、数分立つといつものクールな雲雀になっていた。

「で、何その傷」

雲雀が不機嫌な声でそう尋ねるとハルは涙目で転びましたと呟く。また今日も見事に何もないところでこけて、膝をすりむいたらしい。雲雀はため息をつき、近くの公園の水道に連れて行き、膝の砂利などを綺麗に洗い流してやった。洗い流している最中、ハルはずっと痛みに耐えていて眉間にはしわが寄っていた。雲雀はそんなハルを見てにやりと笑った。何をするのかと思えば、すりむいた場所を数回つつく。
あまりの痛さにハルはまた涙をこぼす。

「い、痛いじゃないですか雲雀さん!ハル、頑張って涙我慢してたのに…!」
「へえ、そう。僕の許可なくそんな傷つけてくるからだよ」
「どういう意味ですか…?」

ハルは意味が分からず、首を傾げながら雲雀を見る。雲雀は、はぁとため息をつき君には知らなくていいよと言った。ハルはむっとなり頬をふくらませて教えてくださいとしつこく聞いてくる。最初は無視していた雲雀だが、だんだんとうざくなってきて、ハルにでこぴんを食らわせる。ハルは額を押さえ、さきほどとは別の痛さに涙が出た。

「君の体は僕のものってこと」
「ハ、ハルの体はハルのものです!」

顔を真っ赤にしてそう言ってきたハルに雲雀は勝ち誇った笑みを浮かべた。
そして、恐ろしい言葉を口に出した。

「次怪我したら、お仕置きだから」


どこか危なっかしい女の子
title by 待ってて神さま


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