ルキアにヤキモチを焼いても仕方ないということは織姫は分かっていた。けれど、気になるものは気になるし、仲いいところを見てしまうとヤキモチだって焼いてしまう。そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。自分の醜い感情をどうすることもできずに、あふれ出そうになる。けれど、醜い感情を恋次に知られるのはとても怖くて織姫は自然とソウルソサエティに行く回数を減らしていた。そしてついに2週間に1回のペースになったとき、恋次は現世へとやってきた。

「井上、久しぶり、だな」
「うん…恋次君元気だった?」
「ああ。井上も元気そうで良かったぜ」

そして途切れる会話。お互いに何を話せばいいか分からずに黙ってしまう。あまりにも空気は重たくて、息をすることさえ躊躇ってしまう。しかし、黙っていては現世に来た意味がない、と恋次は織姫に聞きたかったことを口にした。

「最近、避けてねえか?」
「だ、れを?」

恋次の問いにドキッとしたのはその自覚があったからだ。恋次に近づかないように、と自分で自分に言い聞かせていた。近づいてしまえばあの感情が溢れてしまいそうだからだ。バレたら嫌われてしまう、そのことだけで頭がいっぱいだった。

「…俺を。何かしたか…?俺に悪いところがあるなら言ってくれ」
「違う、違うよ…。恋次君は悪くないよ…ただ、ただ私が…っ」

それ以上は何も言えなかった。悪いのは恋次ではなく自分なのに恋次に辛そうな表情をさせてしまった自分が何を言うことがあるだろうかと思ったからだ。

(醜い、どうしてこんな感情ばかり溢れてくるの?)

ルキアは強くて、いつだって輝いていて織姫の憧れだ。身も心もきれいな彼女がとても羨ましく思うことがよくあった。そんなこと考えれば辛さの度合いが強くなるだけだと分かっているのに。織姫は辛そうに表情を歪めた。すると恋次は優しく織姫を抱きしめた。

「もう、いい。何も言わなくていい。だから、だからそんな表情すんじゃねえ。…辛いことがあるなら抱え込むな。もっと俺を頼れ」
「う、ん…っ」
「俺は、井上の笑顔が好きだ。初めて心から守りたいと思えるものができた。だから、避けるのはやめてくれ。…織姫」
「…う、ん。ありがとう、恋次、君…っ」

そう言った彼女の瞳からは綺麗な雫が零れ落ちた。その涙を恋次は舌で絡めとり、そのまま唇にキスをした。そしてやっと彼女は笑顔を見せた。


お願い笑顔を見せて


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