「グリムジョーさんの好きなものは何ですか?」
「好きなものだあ?」

突然何を言うんだこの女は、とそう思いながらも話しかけてもらえて嬉しいグリムジョー。表情がやわらかい、昔と比べると随分雰囲気も優しくなった。織姫と出会ってから彼は変わったのだ。

「グリムジョーさんの好きなものって思いつかなくて…」
「…俺が好きなものは、てめえだよ」
「あ、え、わ、私ッスか?!」

あまりにも突然で、動揺する織姫は口調がおかしくなっている。その上、顔も真っ赤。そんな織姫を見てグリムジョーは笑い出した。前までは、恐ろしくて何かを企んでいるような笑顔だったのに、今では笑顔も普通になった。織姫は自分といて変わってくれるならずっと傍にいよう、そう思うようになった。

「嬉しいです、ありがとうございますグリムジョーさん」
「別に礼とかいらねーよ」

そっぽ向いてそう言うグリムジョー、反対側に移動してその顔を見ると先ほどの織姫より真っ赤だった。男に可愛いという表現はどうかと思う織姫だったが、ものすごく可愛く思えてきたらしい。小さな子供を抱きしめる母親のように優しく、優しく抱きしめた。グリムジョーは最初は驚くが、抱きしめ返した。

「グリムジョーさんって可愛いですね」
「…それはてめえだろ」

小さい声でボソッと言うグリムジョーの頭を撫でてもう一度、可愛いと言うと流石に我慢できなくなったグリムジョー。織姫をそのままベッドに押し倒して、無理やりキスをする。

「ん、むう…んぅ…」
「俺のどこが可愛いんだ?」
「全部、です」
「…今日は寝かさねえからな、覚悟しろ」

男としてのプライドを傷つけられたグリムジョーはそう叫び、織姫の服を脱がし始めた。こうして長い長い一日が始まった。


男に可愛いは禁句です


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